正義と悪 ページ2
川の貯水池で発見された遺体。
防犯カメラにハッキリと写っている顔。
またこいつかよ、、
未解決事件捜査班の刑事である二宮は頭を抱える。
彼のパソコンにハッキリと写されたそれは、滝沢総理大臣の息子の滝沢秀明で、もう何度も犯罪を犯してるのにも関わらず、全ての罪を隠蔽させる凶悪犯だ。
｢息子さんの体調はどうだい？｣
デスクに缶コーヒーを置き、俺の顔を覗き込んでくる署長。
難病を患った和也の治療費の援助と引替えに、隠蔽させてくれと言った署長。
若い頃は正義感に満ち溢れ、ヒーローになりたいと燃えていたが、妻子を持ち、弱くなった俺。
今や、正義感もなく、悪人に手を貸してる悪人だ。
｢カズ、来たよ｣
｢ぱぱ！ｯｹﾎｹﾞﾎｯ…おしごとおつかれさま！｣
痰が絡み、咳き込みながらも、両手を広げて走ってくる息子。
｢けほっけほっ、、けほけほかほっ、、…｣
病気が見つかってからはずっとこの調子で、俺の腕の中に潜ると、力なく咳き込んでは涙を流すんだ。
｢よし、落ち着いたね、｣
痰を吸引してもらうと、ゼーゼーしてた胸の音はクリアになる。苦しくて零れた涙を優しく拭い、頭を撫でる。
子供の体力はものすごくて、さっきまで苦しそうにしてたのに、ケロッと元気になってる。
｢ぱぱ、今日も困ってる人、助けたの？｣
俺の汚職も知らずに、純粋な目で俺を見つめ、興味津々に聞いてくるカズ。
｢そーだぞ！｣
なんの悪気もなさそうに笑う自分に、ピリッと痛む胸。
｢けいさつかんはやっぱりかっこいいね！僕もぱぱみたいになれるかな？｣
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年8月27日 3時
