PARACAGE 4th【ars】 (ページ35)

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140.あの日のお話。ページ35

「それにしてもさ」

ニノくんが、よいしょって身体をこっちに向けた。

「お前、相葉さんと二人で飲みに行ったんだよね？」
「うん」
「その時に、そんな話をした訳でしょ？」
「うん」
「よく襲われなかったね」
「はっ！？」

私はビックリしてんのに、ニノくんは全然表情を変えない。

「だって、アイツは色んな事を忘れる為にオンナノコを抱くのよ？」
「...まぁ...そうみたいだけど...うん...」
「ん？お前、もしかして」
「えっ！？」
「もうヤられた？」
「無いっ！それは無いっ！」
「それは、って他に何だったらあんの」

その時、玄関から音がして思わず二人でダイニングのドアを見てしまった。

「ただいまー。ハァ、疲れたー」

ドアを開けて入って来たのは、仕事帰りの雅紀くん。
どうやら今日は酔ってない。
キャップを脱ぎながら私達を見て「あれ、お隣同士に座って仲良く何のお話ー？」なんてニコニコしてる。

「お前の話」
「えっ！？ちょ...ニノくん！」

アワアワしてる私の事なんかお構いなしに「お前とAが飲みに行った日の話してたの」なんて、ニノくんは話し始めた。

「あー、あの日の事？楽しかったよね、Aちゃん」

でも雅紀くんは、特に何かを気にするでも無く私の正面に座ってその隣の椅子にリュックを置いた。

「相葉さん、女の子大好きじゃん？」
「うん」

即答！

「酔っ払ったらセーヨク増し増しじゃん？」
「うん」

即答！！

「でもお前ら、あの日ちゃんと帰って来たねーって話をしてたの」
「あー...」

詰まった！！！

ニノくんが「ん？」って顔をする。
そりゃそうだよー！
雅紀くん、嘘下手だったなんて！新発見！そこも好き！...とか言ってる場合か！！

「誘ったんだけどねー」

正直者の雅紀くんが、正直に話しちゃってちょっとクラクラ。

「ラブホ？」
「違うよ。ちゃんとしたホテルだったよねぇ、Aちゃん」

えぇっ！？私に振る！？
ニノくんが何とも言えない顔で私を見るけど、元はと言えばアナタが変な話を始めたからよ！

「でも誘っただけ」
「Aに断られたワケね」
「それで良かったの。酔った勢いはダメでしょ、冷静になってちょっと自分に焦ったもん」

雅紀くんが私を見て、微笑んだ。

「適当なコトしてAちゃんをもし傷付けちゃってたら俺、自分のコト絶対許せなかった」

彼の声は優しくて

何か色々、ホント色々しんどいコトはあるけど、私は相葉くんの声だけでもこんなに幸せになれる。