PARACAGE 4th【ars】 (ページ34)

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139.遅かれ早かれ。ページ34

ニノくんが席を立ったから部屋に戻るのかと思ったら、私の隣に移動して来た。

「A、遅かれ早かれだと思うよ？」
「......」
「アイツはどっちにしても、あの人を忘れられてないってコトなんだから」
「......」
「キツいかもしんないけど、それが現実。オレ、優しい綺麗事とか言えないのよ。ごめんね」
「...ううん」

首を振ると、何故かフフっと笑いが零れた。
人は自分の受け入れたくない話を聞いてしまうと、処理できずに笑ってしまうのかもしれない。
そんな私を見て、ニノくんは頬杖をつく。

「ニノくんは、その人を知ってるんだよね」
「うん。同じ会社に居たからね」
「雅紀くんとその人は、どんな関係だったの...？」
「んー、それはオレに訊くコトじゃないんじゃない？」
「そっか...そうだよね」

美味しそうに見えなくなったソーダを飲もうとして、やっぱりやめる。
ニノくんが「お前が飲まないなら、オレが飲む」ってそれを一気飲みした。
冷たかったらしく、んー...ってまたコメカミを押さえてる。

「相葉さんを好きになるって、Aは最初っからしんどい道選んじゃってんの」
「...うん」
「ラクな道なんか無いんだから、訊きたい事あるなら本人に訊いた方が良いしそれで諦めるならそれはそれで良しだと思うし」
「...うん」
「別に相葉さんに拘らなくっても、お前なら彼氏くらい作れるって。雰囲気は可愛いから」
「別に彼氏が欲しい訳じゃ無いし、褒め言葉が微妙過ぎて喜べないし」
「彼氏いらないの？」
「それは居るに越した事はないけど」

今は彼氏が欲しいって訳じゃ無い。
そりゃ、自分を可愛がってくれる彼氏が居たら色々楽しい事も増えるなぁとは思う。
だけど雅紀くん以外の彼氏が出来た所で、何が楽しいの？って想いの方が大きい。

「...雅紀くん以外、欲しくない...」

テーブルに突っ伏してボソっと呟いた言葉が、そこそこ痛々しいって事に気付いた時はもう遅くて

「うっわ、情熱的ー！えっちー！」ってニノくんが私の頭をポコポコ叩くように撫でて来た。

「そうゆー意味じゃなくって！」

顔を上げて頭の上の彼の手を振り払う。

「じゃあどーゆー意味？」
「...他の人を好きになる事を考えられないって言うか...」
「充分、情熱的だけどね」
「でも、いやらしくは無いでしょ」
「何か物足りない」

何が物足りないの、とか思ってたら

「やっぱお前、バカな恋してんのな」

この恋がバレた時に言われた言葉を、彼は微笑んで繰り返した。