PARACAGE 4th【ars】 (ページ24)

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129.目眩。ページ24

壮絶と言われたら、壮絶かもしれない。色々と。
三和土で靴を脱ぎながら、玄関に鞄を置く。

「...疲れた...」
「だろーね」
「もう動けない...」
「甘えてんのかー？」

ん、と手を出されたからその手を握るとグイッと引っ張ってくれた。

「Aは酔ってないの？」
「酔えないよ。酔えると思う！？」
「アイツあんなに酔ってんのに？お前、お酒強いっけ？」
「だって私まで酔ったらどうやって帰って来るの」

玄関でヒソヒソ、2人で喋る。

「帰って来なけりゃ良いじゃん。ラブホもあるし」
「バッ...！バカか！！」
「口悪ぃな」

ニノくんはケラケラ笑ってリビングの方に行ってしまったけど、私は誘って来た雅紀くんのあの目を思い出してまた動悸に襲われた。
もう本当にしんどい...何がしんどいのか分からない位にしんどい。

鞄を持って、私は階段を上がった。
リビングに行く気力が無い。
這うように階段を上がってると酔いが回って来たのか目の前がグラリと揺れて、昇り切った所で少し座り込んでしまう。

「あ、おかえり。Aちゃん」
「智くん...」

青いドアが開いて、智くんが廊下に出て来た。

「どうしたの？しんどい？」

座り込んでる私の前にちょこんと座って、頭をポンポン。
ほら、距離感おかしいんだよ。この家の住人達は。

「しんどい...」
「お酒の匂いする」
「あ、ごめんなさい...臭いよね」

きっと私よりも酒臭いであろう雅紀くんと一緒に居たから気付かなかった。
慌てて口を押さえたら、智くんは「臭くないよ」って笑った。

「立てる？」
「ちょっと目眩してて...」
「そっかぁ...じゃあ、ここでちょっと休んどくか」

まだ頭を撫でてくれてる智くんをボーッと見てたら、その背後から人影。

「廊下の真ん中に座り込んで何やってんだよ」

部屋着になった潤くんが本当に迷惑そうな顔をして私達を見下ろしてる。

「Aちゃんが目眩してるみたいでね？」
「目眩？単なる酔っ払いだろ？」

私の前まで歩いて来た潤くんが、「邪魔」って言ったと思ったらヒョイっと私の体を持ち上げた。

抱っことかじゃない。
これ、米俵持ち。
荷物みたいな扱い受けてる。

「重い」

サラッとディスられて、潤くんの背中をパンッと叩く。

そのまま潤くんに担がれて、ポイッと自分の部屋に放り込まれた。

潤くん、背中広かったな...なんて、今更冷静になったけどやっぱり目眩に負けて

「お風呂は明日...」

私はベッドに潜り込んだ。