PARACAGE 4th【ars】 (ページ2)

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107.ポクポク。ページ2

家に帰り、三人分のご飯を作る。
幸い、照り焼きは自分が好きだから一人暮らしの時もよく作ってた。
ちょっと自信を持って出せる物。
油揚げがあったからお味噌汁も作って、卵を落とす。

リビングでバラエティ番組を観て大笑いしてる智くんと雅紀くんに「お味噌汁の卵は半熟と固ゆで、どっちが良いですかー？」って、キッチンから顔を出して訊いてみる。

「おれ、半熟ー」
「ポクポク！」

「ポクポク？」と私が言うと雅紀くんは「あ、固ゆで！」ってちょっと恥ずかしそうに言い直した。
小さな頃から固ゆで卵の事を『ポクポク』って言ってたのかな。
......可愛い...。

かしこまりましたー、と私はキッチンに戻って料理の続き。
雅紀くんが固ゆでなら、私も固ゆでにしよ...って思っちゃった自分に「乙女か」ってこっそり笑った。

三人で食卓を囲む。
何となく雅紀くんの隣はやっぱり緊張するから、智くんの隣に座って。

おいしい、おいしいって言って貰えて安心してる所に翔さんが帰って来た。

「ただいまー。あ、美味しそう」
「翔ちゃん、おかえり！めっちゃウマいよ！」
「うっそ、一口ちょーだいよ」
「良いよ、あーんして？」

雅紀くんが、素直に開いた翔さんの口に照り焼きを一切れ運ぶ。

「うまっ」
「Aちゃんが作ってくれたの」
「Aさんが？今度、僕にも作って下さいよ！」

翔さんに言われて、ちょっといい気になっちゃう。
潤くんには敵わないけど、私もちょっとテラハウスシェフになってるんじゃない？なんて。

その後は、みんなが帰って来てから大きなポテチを食べた。

ニノくんが「パーティーかよ」って言いながら、塩の付いた指先を舐める。
潤くんは「チーズかけてみた」って、ポテトチップスにチーズを掛け温めて持って来た。

「ピザポテトみたい！お久し振りぃ」

智くんが嬉しそうに言えば

「カロリーのお化け」

翔さんが恐ろしそうに言う。

「雅紀くん、こんな時間にお菓子食べて良いの？」
「何で？」
「だって、モデルさんなのに。カロリー制限とかってしないんですか？」

コーラとポテチ(しかもチーズ掛かってる方)なんてどう考えてもカロリー過多なデザートを堪能中の雅紀くんは、ちょっと得意げな顔。

「俺、太んないの」
「えっ！？」
「いっぱい食べなきゃ痩せっぽちになっちゃう」

言われてみれば、確かに雅紀くんはご飯もよく食べる人だ。

「良いなぁ...」

本気で羨ましがる私に彼は笑った。