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104.回し読み新聞。 ページ34

「ビッ...!」
「ビ?」
「...ビックリしたぁ...」
「急に色男が現れたから?」
「そうですね」
「クソ棒読み、腹立つ」

ドカっとニノくんがさっきまで翔さんが座ってた椅子に座った。
座るや否や、大あくび。

「大きい口」
「小さな口でするアクビなんて偽モンだろうが」

目尻に滲んだ涙を指先で拭いながら気怠そうに、テーブルの新聞を手にする。
それを開いて眠たそうな目で読み始めたと思ったら、リビングの智くんを見た。


「あら。大野さんが寝てる」
「......」
「A、ホントに逃げ込んだの?」
「......」
「大野さんのベッド奪ったんだー」
「言い方!」

私が唸ると、ニノくんは楽しそうに笑う。

「添い寝して貰えば良かったのに」
「はっ!?」
「でもまぁ、Aだって腐っても女子だもんなぁ」
「腐っても...」
「間違いが起きないとは言い切れないもんね」


ニノくんの言葉に、夜中の智くんを思い出す。


『おれ今、狼なっちゃいそうだった』


智くんから出て来るなんて、想像もしてなかった台詞。
からかっただけだろうって分かってる。
私が気を使わないように言ってくれた冗談なんだろう、ってのは分かってるんだけど。


狼どころかニゴと同じニャンコみたいな智くんが、うーん...と寝返りを打ってソファから落ちた。
でも起きない。


「ま、オレにはそんな気起きないらしいけどね。Aは」
「え?」
「そうなんでしょ?」
「自分だって、私にはそんな気起きないでしょ?」
「んー...お腹減ってたら何でも食べたくなるからなぁ...」
「サイテー」

ニノくん、ケラケラ笑ってる。
下品なはずなのに、何でこの人こんなに透明感あるわけ。謎。


「おはよー...」

ふらふらとダイニングに入って来た潤くんは、そのまま縁側へ。
その途中で、転がってる智くんに躓いてこけそうになってる。

縁側で潤くんは寝起きの一服。
新聞を持って席を立ったニノくんがその隣に座って、彼も煙草を出した。

「はい、潤くん。オレもう読みたいトコは読んだから」
「サンキュ」

ニノくんから新聞を受け取った潤くんは、咥え煙草で読んでる。


「トースト焼こうと思うんですけど、食べますか?」

縁側に向かって言うと、二人とも手を挙げた。
相変わらず、ここでの「いる」ってゆー意志表示は挙手。


私が三枚のトーストとスクランブルエッグを作って、三人で朝ご飯。
二杯目のコーヒーは、お砂糖とミルクたっぷりのカフェオレにした。

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2017年5月9日 17時

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