PARACAGE 2nd【ars】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:15 hit、合計:1,766,397 hit

44.チラシ。ページ9

「あっ...！えと、前の家で、ですね！？壁を勝手に塗っても良いよって言われてて...！」
「壁？」

雅紀くんがキョトンとして、首を傾げる。

「その時に、鶯色を塗ってて...だから、ビックリしたんです！雅紀くんの部屋のドアの色がその色にソックリだったから！」
「へぇ、そうなんだ」
「それで...凄く好きな色だったから、ベッドカバーだけでもと思って...」
「そうだったんだね」

ニッコリ。
目尻に優しげな皺が寄る。

何となく気まずくて、届いたばかりのチェストを撫でてみる。

「ねぇ、Aちゃん」
「はい！」
「お腹空かない？」
「...あ、空いたかも...」

お腹に手を当ててみる。

「夕飯、どうしよっか。とりあえず、おーちゃん起こそ」

部屋を出て行く雅紀くんの背中を追い掛けると、彼は青いドアをコンコンとノックしてた。

「おーちゃーん！ご飯、どうするー？一緒に食べるー？勝手に食べるー？」

言い終わると、すぐドアに耳を引っ付けてる。
可愛い。

でも、声は返って来なくて代わりにドアが開いた。
結構な勢いで。

「うわっ！？」

当然、耳をつけてた雅紀くんの体はドアに押されて廊下にコテンと転がる。

「あ！ごめん、相葉ちゃん！」
「痛いー...ビックリしたー...」
「ごめんごめん」

あははーって笑いながら、智くんが雅紀くんの手を引いて起こしてあげた。

「おーちゃん、寝てなかったの？」
「ちょっと寝たんだけど、今は仕事してた」
「ご飯どうする？」
「二人はどうするの？」

智くんが私を見たから、私は雅紀くんを見て「どうします？」と訊いてみる。

「今から材料買いに行くのも面倒だなぁ...あ！デリる？」
「デリ...あ！出前ですか？」
「そうそう。下にチラシ色々あるから、見に行こ！」

三人でダイニングに行き、雅紀くんが持って来たチラシをテーブルの上に並べてみた。

「どれが良い？」
「えー...」
「悩むねぇ」

頭を突き合わせるようにして、チラシを眺める。
目移りする。

「あ、翔さんは今日もお家でご飯ですか？」
「うん、そうだと思うー」

翔さんは夕飯を実家で食べる事がほとんど。
よく考えたら彼は自分の部屋がテラハウスにあるってだけで一人暮らししてる訳じゃ無いんだから実家で食べるのが普通。
それでもここの住人と過ごせる時間を増やしたいと、週末だけはテラハウスで食べてる。

「ニノちゃんは今日帰り遅いってさ。さっきLINEした時に言ってた」

あ、桜餅の件ね。