PARACAGE 2nd【ars】 (ページ8)

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43.意外と太い。ページ8

受け取りのサインをして、配達員さんが帰って行った。

「これ、部屋まで持ってかなきゃいけないね」
「あ...そうですね...」

そうか...この家には階段があったんだった...。
運ばなきゃいけないって事がスッカリ抜けてた。

「一緒に運ぼっか」
「...良いんですか？」
「うん。俺、意外と力あんの。ほら、腕は結構太いと思わない？」

雅紀くんが腕捲りしてる腕を、私に見せる。
うん、それは思ってた。
顔も小さいし、脚も細いのに、腕はガッチリしてるんだなぁ...って半袖の写真とか見て思ってた。
こんなの、絶対言えないけど。

「あ、本当だ、意外と太い」

棒読みになってないか不安。

チェストを二人で二階まで運ぶ。
玄関に残してたローテーブルは、雅紀くんが一人で取りに下りてくれた。

部屋のドアを開けっ放しにしてチェストの梱包を剥がしてると、雅紀くんがヒョコっと顔を覗かせる。

「テーブル、持って来たよー」
「あ、ありがとうございます！その辺に置いてて貰ったら大丈夫なんで」
「え？入って良いの？」
「え？」
「だって、女の子の部屋だよ？」
「あー...」

とは言っても、ベッドと段ボールしか無い。

「まだ何も無いし、この部屋。全然大丈夫です」

私がそう言うと、彼は「お邪魔しまーす」ってちょっとコソコソした感じで入って来た。

...待て待て、私が大丈夫って言ったけどよく考えたら『部屋に見られて恥ずかしいような物が無い』ってだけで雅紀くんが部屋に入って来たら普通に緊張する！
何でそんな初歩的な事を忘れてた！？

ドキドキしてるのを勘付かれないように、梱包剥がしの続きに集中。

「じゃあ、ここに置いとくね」
「は...はい、すみませんっ...！」
「あ、可愛いね！このチェスト」

なのに、雅紀くんが私の隣に立つもんだからドキドキが加速する。

「もしかして、ギミスタ？」
「あ...そう、なんです...」
「凄い！だって、ギミスタの家具って結構リッチなお値段じゃない？」
「そうなんですけど実は、これアウトレットなんです」
「えっ！？アウトレットなんかあるの！？」
「フフッ、一般のお客様は買えない社員特典なんです」

良いなー！って雅紀くんが口を大きく開けた。
良いな良いなって言いながら、梱包を剥がすの何気無く手伝ってくれてる。
あっとゆー間に、チェストが姿を現した。

「あ」

雅紀くんが振り返って、ベッドを見てる。

「カバーの色、俺のドアと似てる」

しまったー！

見られたらマズイ物、あったー！！