PARACAGE 2nd【ars】 (ページ25)

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60.職人。←5.4 ページ25

4人でテーブルを囲んで、潤くんが作ってくれた焼きそばを食べる。
目玉焼きの乗ったそれは、やっぱり美味しくて隣に座ってる智くんと頬を押さえて「うーん！」なんて言い合った。

「カズ、仕事忙しい？」
「んー...忙しいっちゃ忙しいかな？ありがたい事に。潤くんの忙しさには及ばないけどね」
「もう俺、何か麻痺してきた」
「うわー！それ、ヤバイやつだから！潤くん、ちゃんと休んで！」

多忙ビジネスマンな潤くんとニノくんが話してるのを眺めながらモグモグ。美味しい。
ニノくんは生成り色のラクそうなカットソーを着てる。シンプルだけど、素材が良い。

「ねぇ、ニノくん」
「ん？」
「そーゆー服も自分で作ったりするの？」
「これ？これは既製品よ」

カットソーの胸元をキュッと摘んで「自社のだけど」って。

「何でも自分で作っちゃうのかと思った」
「まぁ、オーソドックスなパンツやシャツなら作る事もあるけどね。自分のサイズに合わせたい時とか」
「オーダーメイド！」
「ハンドメイドよ」

ククッて笑ったニノくんが、焼きそばを口いっぱいに頬張った。
ほっぺたがぷっくり膨らむ。

「カズの作るシャツ、すげぇ形綺麗だけどね」

潤くんが言うと

「このハーフパンツも履きやすいよ」

智くんは今履いてる自分のハーフパンツを指差した。

「えー！これニノくんが作ったの！？凄い！」
「学生の頃からずーっとやってる事なんだし、この仕事してる奴なら誰でも作れるわ」

照れ隠しなのか何なのかよく分かんないけど、あんまりこっち見てくれない。

「でも、服の善し悪しはデザイナーもだけどパタンナーの腕によるって聞きます」
「まぁ、それはあるだろーね。2次元の物をどこまで具現化出来るか…ってのはパタンナー次第だから」
「型紙引くのって大変そう...」
「時々、本気でこんな服作れると思ってんのか！？ってデザイン上げてくる奴も居るからねぇ」
「そーゆー時は断るんですか？」
「まさか。難題の方が断然燃えるでしょ」

ニノくんの言葉に、その隣で潤くんが面白そうにアハッて笑った。

「ニノアパレル業界で働くオシャリーマンってより職人さんだもんね」

そう言った智くんに「オシャリーマン？」って訊くと「オシャレなサラリーマン。潤くんみたいな」って言われて、チラッと潤くんを見ると

「どうも、オシャリーマンです」

なんて真顔で言うから、ブフッと吹き出してしまった。