PARACAGE 2nd【ars】 (ページ2)

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37.観察日記。ページ2

同居生活が始まって、何日かが過ぎた。

彼らの生態は、この数日の観察で何となく掴めて来た。

ここのオーナーのお孫さん、翔さんは寮母さんのような感じ。
静かに穏やかに、テラハウスを統べてる。
彼が叱ると、子供みたいな雅紀くんとニノくんが黙っちゃうのが面白い。

智くんは、いつも家でお仕事してるから一番顔を合わせてる人かもしれない。
縁側に熱転がってニゴと日向ぼっこをしてる姿は癒しでしか無い。
優しくて、のんびりしてて、きっと彼からはマイナスイオン出てる。

ニノくんは会った時からもう何年も友達だったんじゃないか？って錯覚させられるような人だったけど、それが更に強くなった。女子より可愛い人。
腐れ縁の幼馴染みとか居たら、こんな感じなんじゃないかな？っていつも思う。

潤くんは、何でも出来るスーパーマンだなと思った。
お仕事忙しそうなのに、休日も早起きだしダラダラしてる姿をあまり見ない。
キリリとしてとっつきにくい感じだけど、笑ったら驚く程に幼い表情になる。

それから、雅紀くん。

『咲くん』を見てただけのあの頃に持ってたイメージは、大人っぽくてちょっとクールで笑顔は素敵だけどどこか陰を感じる人...だった。
でも『雅紀くん』は全くクールでは無いし、大人っぽいかと言われると何か違う。
陰は...全然無い。
明るいし陽気過ぎて、少年みたい。高校生男子！って感じ。

憧れの人と暮らすのは、毎日が夢のようであり、逆に地獄のようでもある。
何をしてても落ち着かないって思ったし、ちょっとした事ですぐドキドキするし。
心臓がいくつあっても足りない！なんて本気で思ったのは、人生で初めてだ。

だけど、人間って慣れる動物だから。

隣の部屋から雅紀くんが出て来ても、キッチンに突然入って来られても、いちいちビックリしなくはなった。
......ドキドキはするけど。

・

「翔さん、おはようございます！」
「おはようございます、Aさん」
「桜、咲き始めましたね」
「はい。楽しみですね」

早番の日は、桜香寺の前を通ってお庭を掃き掃除してる翔さんに挨拶してから出勤するのが習慣になった。

「いってきます」と言えば、「いってらっしゃい」と返して貰える。

家に帰れば、必ず誰かが居るから明かりが灯っていて

「ただいま」と言えば、「おかえり」と返して貰える。

そして、私も誰かが帰って来たら「おかえりなさい」って言うし、明日の朝はまた誰かに「おはよう」って言う。