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29.キッチン。←4.10 ページ29

「じゃあ、荷物置いてすぐ行きます」
「うん」

智くんがニゴを連れてダイニングに入って行った。


私はそのまま階段を上がって、自分の部屋へ。

雅紀くんが居なくてホっとしたような、でもやっぱり残念なような。
ただ残念だと思っても、その内帰って来るんだ...と思ったら、何だか分かんないキューンに襲われる。

「あ、これ持って行っとこ」

買って来たマグを箱から出して、手に持ってダイニングに下りた。


そこには、翔さんとニノくんが向かい合って座ってお話中。
智くんはリビングの方でニゴを抱いてテレビを観てて、潤くんの姿は見えないからきっとキッチン。

「ただいま帰りましたー」
「おかえりー」
「おかえりなさい」

ダイニングの二人が返してくれる。


キッチンを覗くと、潤くんがお鍋の蓋を取りながらこっちを見た。

「ただいまです」
「ん、時間通りだな」
「ちょっとシンク使って良いですか?」
「良いけど、どうした?」
「マグ買って来たんで、洗っとこーと思って」

潤くんが「なるほど」と、頷く。
キッチンに入り、マグを洗ってると彼が横から覗き込んで来る。

「それ、ギミスタの新作?」
「はい、ついこないだ入荷したばっかなんです」
「ふーん。雅紀が好きそう、それ」

うん。
何となく、そんな気がしてた。
雅紀くんのマグとデザインの系統似てるもんね、これ。

でも、全然知らなーい!な雰囲気を出さなきゃ。

「へぇ!そうなんですねー!潤くんは?」
「俺はもっとシンプルな方が良い」
「シンプルな新作も入荷しております」
「営業かよ」

潤くんが、クっと笑う。

洗ったマグをステンレスの水切りに置いて、「何かお手伝いありますか?」と訊くと「じゃあ、豚汁入れて」とすぐに指示された。
その事にちょっと安心する。
いつまでもお客さん扱いされるのは、やっぱり嫌だなと思ってたから。


お鍋から煮物を器によそってる潤くんの隣で、豚汁をお椀に注ぐ。

「僕、運びますよ」

いつの間にかキッチンに入って来てた翔さんが、豚汁の入ったお椀をお盆に乗せてダイニングに持ってってくれた。
その合間にニノくんもお茶の用意をしてる。
テーブルを拭いたらしい智くんが、布巾を持って来て洗って干した。


「何か、役割分担が見事ですね」
「共同生活だから。みな平等。助け合いの精神」

そう言った潤くんの手には、器に盛り付けた煮物。

「美味しそう!」

お腹が小さくグゥと鳴った。

30.お言葉。→←28.お揃いとか。



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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2017年3月22日 18時

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