PARACAGE【ars】 (ページ22)

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22.寝ぼけてる。ページ22

まぁね、決してキリっとしてる顔じゃ無いですけどね？
メイクなんかしなくても可愛い子(しかも男子)に言われたら、結構悲しいです。

「...では、おやすみなさい」

私が言うとノロリと智くんが私を見て、「スッピン？」って言いながら立ち上がりこっちに歩いて来る。

え？と思ってると口元に当ててたタオルをギュっと下ろされた。

「かわいい」

んふ、って笑うとまたソファに戻って行く。
...何だ？今の。

「...寝ぼけてるのかな？」

独り言のように言うと、ニノくんが「ニゴと同じ種類の『かわいい』じゃない？」と返して来た。
智くんはニゴを抱いて「種類って何」て笑ってる。

「Aは明日仕事じゃないの？」
「..あっ！そうだ、寝なきゃ...」

おやすみなさい、と私が言うと二人の声が「おやすみー」と揃った。

階段を上がり、並ぶ扉を見る。
青は智くん。黄色はニノくんで雅紀くんは緑。
って事は、赤と紫が翔さんと潤くん。

どっちがどっちだろう？と考えながら廊下を歩いて、やっぱり緑の扉の前ではちょっと息を止めてしまう。

あんまり音を立てないように、ソォっと自分の部屋のドアを開けて中に入る。

ベッドに腰掛けて、壁を見詰める。
あの壁の向こうに雅紀くん...。

幸い、ベッドは彼の部屋の壁とは逆サイドの壁際にある。
もしこれが、壁一枚挟んでベッドが隣り合わせだったりしたら！
寝られない！私、寝られない！！

良かった...と思いつつ、ベッドから立ち隣の部屋と共有してる壁にソっと手を当ててみる。

そこからは、何も伝わってくるはずも無いのに。
ずーっと続いてるドキドキが、また少し大きくなってフルフルと小さく頭を振ってベッドに戻った。

まだシーツを被せてない丸裸のお布団に潜って、明日シーツを買おうと決めた。

目を閉じて、羊を数える。
そうでもしなきゃ、やっぱり寝れそうにも無い。
ベッドが隣り合わせじゃなくたって、部屋はお隣さんなんだもん。

自分から、雅紀くんと同じ香りがする。

・

スマホのアラームで目を覚まし、一瞬自分がどこい居るのか分からなかった。

「...ここは、どこだ...」

木目の天井を見て、暫く考えて

そうだ、引っ越したんだ...と思い出したと同時に、夢だと思ってた事も全部現実なんだと再確認。

カーテンもまだ買ってなくてサンサンとお日様が入って来てる窓に近寄り、外を眺める。

お庭には蕾の付いた桜の樹があって、それが満開になった時の事を想像すると頬が緩んだ。