PARACAGE【ars】 (ページ21)

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21.血の海。ページ21

自分の使ってたシャンプーの使い切りタイプを用意してたからそれを手に出す。
チラっと視線を動かすと、そこにはボトルに入ったシャンプーとリンス。

...雅紀くん、これ使ってるのかな...。

思わずそれを使いたくなったけど、もう掌にはシャンプー出しちゃってるし勿体ないからとりあえずそれで髪を洗う。
でも、ボディタオルは持って来てたのにソープの事をすっかり忘れてた。

「...持ってないから仕方無い、よね？」

リンスの横に並んでたボディソープを使わせて貰おう。
うん、仕方無い。

タオルに出した瞬間に、それはさっきの雅紀くんと同じ香り。
きっと、潤くんだって翔さんだってこの香りだったはずなのに。
すぐに雅紀くんを思い出してしまう自分、ちょっと引く。

雅紀くんが帰って来てから、常に小さくドキドキし続けてる胸にそろそろ疲れながら身体を洗って、湯船に浸かろうと思ったけどやめた。

だって、さっきまで雅紀くんが浸かってたお湯。
そんなの、今の私には絶対に耐えられない！
鼻血で湯船が血の海になる。間違い無い。

慣れるまではシャワーにしよう...って、慣れられる日が来るんでしょうか...。
出来れば、寒くなるまでに慣れたいです。

お風呂から出て洗面所で髪を乾かしてると、そこに扉付きの三段の棚が二個並んでる事に気付いた。
部屋のドアのような色分けはしてないけど、それぞれの扉に名前が書いてある。

左の上から『さとち』『カズ』『JUN』
右の上から『翔』『まさき』で、一番下が空いてる。

「部屋の並びと一緒だ」

これ、ロッカー的な？
じゃあ、この一番下の棚は私が使っても良いのかな。

リビングを覗いたら、ニノくんと起きてた智くんが並んでソファに座ってテレビを観てる。
その手元には湯呑み。
チップとデールに、一気にお爺ちゃん感。

「お先にお風呂頂きましたー」
「はーい」

ニノくんがテレビを観たまま返事。
智くんはまだ眠そう。

「あの、洗面所の棚って...」
「あぁ、それ言うの忘れてたね。一番下の空いてる所Aが使って良いから。何かほら、洗面用具とか部屋着とか入れときなよ」
「はい、ありがとうございます」
「下着は入れない方が良いと思うけどね？」

ンフフ、って笑ったニノくんがこっちを見て「あ」って口を開けた。

「スッピン」
「...あっ！」

慌ててタオルで顔を隠したけど、もう遅い。

「何か眠たそうな顔になんのね、Aって」

カワイコちゃん男子に言われて、ガックリ。