桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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朝ご飯を食べ終えて、洗面所で歯磨きと髭剃りをしている間もずっと佐久間が付いてきた。


佐｢あべちゃん｣

阿｢なに？｣

佐｢俺も学校行きたい｣

阿｢高校生やるの？｣

佐｢んー。それもありだけど、勉強はしたくない｣

阿｢佐久間先生やる？｣

佐｢俺が体育教師やったら、球技教えらんない…｣

阿｢また外部コーチやる？｣

佐｢俺のギャラ、めちゃくちゃ高いよ｣

阿｢払えないね｣

佐｢アドバイスは無料だから、また休みに行くからね｣

阿｢うん｣


ウォークインクローゼットで着替えを佐久間が手伝ってくれた。

ジャケットを着せてくれただけでも、佐久間が世話してくれることが嬉しい。



佐｢あべちゃん、俺と結婚して良かった？｣

阿｢なんで今それを聞くの？｣

佐｢のえちゃんが、俺がいなければって思うのと同じように俺もあべちゃんのこと巻き込んだって…｣

阿｢佐久間が好きにならなければ、俺は女性と結婚して今頃お父さんだったかもね…｣

佐｢…｣

阿｢佐久間が好きにならなければ、佐久間には可愛い女の子のお嫁さんがいたかもね…｣

佐｢…｣



阿｢たらればの話はやめない？｣

佐｢そだね｣

阿｢うん。これ以上はないってくらい今は幸せ。俺は佐久間がいるから幸せなんだよ。そこ、忘れないで｣

佐｢…にゃす｣

阿｢佐久間、俺は性別関係なく、佐久間が好き。女だったらって思うさなぴーには負けない｣

佐｢にゃはは｣

阿｢佐久間、俺は出会わなければなんてこの先も思わないから。公表したいなら教師は辞める。いつだって佐久間の気持ちを優先する｣

佐｢…ありがとう｣

阿｢じゃぁ、行ってくるね｣

佐｢うん｣

阿｢俺を好きになってくれたこと、後悔はさせない｣

佐｢…うっ｣

佐久間が胸を押さえてうずくまった。

阿｢佐久間、どうしたの？大丈夫？｣

佐｢キュン死した…｣

阿｢如恵留ー！佐久間が変だからあと頼む｣

川｢はーい。いつも変ですー｣

俺の声に反応して、川島先生が来てくれた。




佐｢にゃはは｣

川｢変なものの塊が佐久間なんで、毎日楽しい｣

佐｢にゃ｣

阿｢如恵留、佐久間、行ってきます｣



2人の頬にキスをして、川島先生からバッグを受け取って家を出た。

キュン死した佐久間の動画欲しかったな…。

やってって言ったら、再演してくれるかな。


俺が佐久間の願いを叶えるのと同じように、佐久間は俺の頼みを聞いてくれる。

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