桃色の指先と翡翠の憂鬱 53

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佐｢のえちゃん終わったー？｣

阿｢今ね頭洗ったとこ｣

佐久間の声がして、ドアにシルエットが写ってる。


川｢佐久間、カレー食べたの？｣

佐｢食べた。とーまちゃんも帰ってきたから半分こした｣

阿｢佐久間も入る？｣

佐｢にゃす。お邪魔しまーすって、あべちゃん洗濯もすんの？｣

阿｢如恵留に引っ張られて。脱ぐから待って｣

佐｢あべちゃんどーん｣

佐久間に胸を押されて後ろのバスタブに後ろ向きに突き落とされた。

阿｢おい｣

川｢佐久間、危ないから｣

佐｢あははっ。あべちゃん怒った？｣

阿｢…｣

川｢佐久間、阿部先生怒ってるよ｣

阿｢バカピンク｣

佐｢にゃはは。のえちゃん、とーまちゃんが心配してるから出てね｣

川｢うん｣

阿｢如恵留、このバカピンクにお仕置していい？｣

川｢どうぞ。ほとほどに｣


佐久間の腕を引っ張って、湯船に引き込んだ。

佐｢あっ｣

阿｢おあいこ｣

佐｢んふふっ。あべちゃん抱っこ｣

川｢のぼせないようにね。お先に｣




服を着たままお風呂って初めてかもしれない。

全裸の佐久間がにたにた笑って俺の上に座ってる。

佐久間の裸は見慣れているけど、目のやり場に困る。


佐｢こうでもしないと、あべちゃんと向き合えない｣

阿｢なんで？｣

佐｢あべちゃん、ずっと殻に閉じこもってる｣

阿｢…｣

佐｢俺のせい｣

阿｢そんなことないけど｣

佐｢そんなことある。俺のせいでごめん｣

阿｢なんの事？｣

佐｢俺とのことで、あべちゃん学校居ずらくない？｣

阿｢…｣

佐｢俺があべちゃんに無理矢理好きになってもらったから…｣

阿｢は？｣

佐｢だって。あべちゃんは普通に女の子好きじゃん。俺もそうだけど。のえちゃんとは違う｣

阿｢如恵留とは違う？｣

佐｢知らないの？のえちゃんは元々…｣

阿｢元々？｣

佐｢のえちゃんはガチで性別気にせず愛せる人…｣

阿｢その話は置いておこうか。なんで、佐久間のせいなの？｣

佐｢今、問題になってるんでしょ？先生と生徒の恋のこと｣

阿｢まぁ、そう｣

佐｢あべちゃんつらい？｣

阿｢辛くないとは言えない。でも、佐久間は別｣

佐｢んーん。別くないよ、俺はずっとずっとあべちゃんの教え子でさ、卒業してもその呪縛は解けない｣

阿｢うん｣

佐｢あべちゃんが悪いってなって欲しくない…｣

阿｢大丈夫だから｣



佐久間の心配してることは手に取るようにわかる。

先生と生徒との恋愛が問題になって、俺がまた苦しむと佐久間は危惧してるんだ。

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