君のせいです！

22話目 ページ22

しかしそんな忙しい中でも、やはり彼のことがいつも頭の片隅にいるのだった。
正直、梨香先輩のバイクに乗っている時もずっと、ショッピくんのバイクに乗っていたことをどうしても思い出してしまうのだ。

今週は全然会うことができなかった。
一目でいいから彼を見たい、話したいなんて、会えなければ会えないほどもやもやが大きくなってくる。


もやもやを少しでも無くすために、家に帰ったら金魚をひたすら見つめるようになった。この子達をもらったお祭りでは確か手、繋いだんだっけ…あのときはまだ好きだってことに気づけてなかったな。


『…もったいないことしたなぁ』


あの時の手の温もりを、忘れてしまったのがどうしても悔しかった。

そうしてまたしばらく経ち、先輩に連れ回されることもなくなったころ。

1日の仕事を終え、外へ出る。今日もくたくたになるまで働いた。
そんな疲れている時でも、未だにバイクがあるかを確認してしまう。なんだか前よりも遅い時間までバイクがあることが多い気がする。
もしかして、私の残業していた分、ほんとにショッピくんにいっちゃったのでは…？そんな不安に駆られて立ち止まっていた時、後ろから嫌いな声がした。


『あら、望月さんお久しぶりね』

『げ…先輩、お久しぶりです。』


なんでこいつがここにいるんだ。てかなんで声掛けてくるの？感情が顔に出るのが抑えられないくらいにはこの人に会うのが嫌だった。
なんで会いたい人には会えないのに会いたくない人には会っちゃうのかなぁ…


『新しい部署はどうかしら？また前みたいにぼけっとしてないといいけど』

『はあ…前の部署より全然楽しいんで大丈夫です』


あっそ、ほんとつまんない子ね、なんて言われたがそんなの知らない。つまんないのはどっちですか。
これ以上話すこともなかったのでさっさと帰ることにした。



『もういいですか、疲れてるんで帰りま、』

『ああそう、悠くんのことだけど』


悠くん、ショッピくんのことだ。私は思わず振り返って上司の顔を凝視してしまった。なんで、前は東雲くんって呼んでたのに。


『…随分と仲良くなったんですね』

『ふふ、私の教育がうまかったからかしら、とっても懐かれちゃってね〜？』


絶対嘘だ。だってショッピくんもこの人のこと嫌いって言ってたの私知ってるし。


『悠くんも前よりもぐんぐん業績伸びててね！…あんたが先輩じゃなくなって嬉しいんですって』

『は…？なに、それ』

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