気をつけろバカ！ (ページ9)

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② ページ9

「ゴキジェットどこにあるの？」
「えーと、棚！キッチンの横んとこの一番上！」

狭いキッチンの隣に立っている白い棚に皿やらなんやらが置かれてある。私がギリギリ届く位置にある、1番上には未使用の日用品も置いてあった。瞬間！ゴキジェットと書かれた筒を手に取る。

「大先生、はい！」

新聞紙をソファの上に置いた大先生にゴキジェットを投げる。慌てながらもちゃんと受けとったが一向に放つ気はない。

「いけ～～！大先生～！」
「無理無理無理、今めっちゃ目合っとるから！！！待って待って待って」
「ソイツ怖がってる人に飛んでくるらしいよ」
「鬱、行きまーーす！！」

プシューッとアイツに向かって放たれた白い煙。それは予想外にも長く続き、終わった時にはゴキジェットは中身が無いというようにカスカス言っていた。大先生、全部使ったんだ…。

一先ず、死骸となったそれを新聞紙で運びゴミ袋にぶち込まれた。アレ、死んだフリとかも出来るらしいので、まさかの展開を予想してガムテープで袋を封印した。
仕事が終わった私と大先生は、固い握手をして別れるのであった……。fin.

「いや、貸しいちだから」
「うわ、最悪や」

すっかり忘れていたことを告げると、明らかに嫌そうに顔を歪めた。買い物袋を背負うと目的を聞かれたので「カレー」と一言告げる。アイス溶けてたら最悪…

「そうだ。車出して」
「あ、そんなんでいいんだ。りょうか～～」
「何いや？じゃあソシャゲのデータ、876IDごと消していい？」
「A、Aさん、アネキ！ちゃうじゃないですか！有難く送らせていただきやすよ！ヘエ！」

舎弟RPをした後、大先生は少し暖かい格好をして車のキーを持ち先にエレベーターに乗り込んだ。私も乗る時に閉めずに開けっ放しにしてくれてるあたり、シャオロンとの差を感じる。こう、情けなかったり女っぽいとこがなくなったり口閉じてたらイケメンなのになあ。アイツぐらい成人男性なんだから1人で狩れるようにならないと！大人でしょ！

「久しぶりにAちゃん家行くわ」
「この前なにしに来たっけ。あ、お土産くれたのか」

二ヶ月前に出張のお土産～やらなんやらをくれた気がする。

……あれ、なんでこんなエレベーター長いんだ。チラリと大先生の方を見てもニコッと笑っているだけ。エレベーターの小窓に目線を移して驚愕した。

「フロア！！押されてない！！」
「あっ」

完全に、この人もドジ常習犯の一員になっていたことを忘れていた…