後輩のつまみ食い【企画】 (ページ4)

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足元に扇風機を置いても暑い会場の中、私だけ冷や汗を流している。最悪だ、今世紀最悪な事に対面しているかもしれない。吐きそう。
落ち着け、まだ誤魔化せる。人違いだと思わせるために声を低くした。

「なんでしょうか、初対面のはずですが……」
「そんな伊達メと髪型変えただけで気づかない程鈍くないですよ、俺は。ね、A先輩でしょ？」

本名バレ(元から)

彼は弄り倒せるネタを見つけたように、にいっと口元を歪ませているが私の冷や汗の量が倍になるだけ。
全然、全然全く1個も死ぬほど面白くない。ここで奴を殺して身バレを防ぐか？いやここはコミケだ落ち着け始末は後でいい。

ショッピくんの言葉を無視して、ありがとうございました～と何事もなかったように送り出す。後ろにまだフォロワーいるんやぞ、本名バレするだろふざけるな。
対するショッピくんは先程の笑顔と打って変わって、面白くなさそうに私を一瞥し騒がしい所へに戻っていった。

「せんぱ～～い！A先輩っ！先輩～～セ～～ンパイ！A先輩！A先輩？せんぱぁい♡
………………………………天使の」
「ハンネ喋るな殺すぞ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」

あ～～自主規制の音ｫ～(笑えない)
この男、ショッピくんとは同じ部署だが喋ったことなど数えるぐらいで、全て仕事に関する話。なのにお盆休みが終わった途端、こうして私にウザ絡みをしてくる。何かと目の前に現れれば作品の感想やらネタツイやらを褒めちぎってくるのだ。リアルで毎回報告してくることに羞恥心を感じて無視していると、こうして暗黒のハンネを呼んでくる……†

「あのさあ！会社ではそういう話しないでって何回言えば言いわけ！？」

周囲には絶対バラすなとは釘をさしているのだが、こうやって私をからかいに来ているのでバレるのは時間の問題かもしれない。そうなった暁にはショッピくんを殺して私も死ぬ。
昼休、談話室に弁当を持って転がり込んでも、何故か着いてきて私の至福の一時を最低腐男子に邪魔される。身バレしてしまったことに常時汗をかいている私とは反対に、目の前の後輩はにひひと口角を上げた。

「えぇー、A先輩反応面白いんですもーん」
「次の新刊おめーの容姿で強姦もののどぎつい年齢制限同人でも描いてやろうか」
「ご褒美ですね」

ダメだこの腐男子……。
まあそんな軽口を言えるほどはまだ余裕があるのだろう。否、全然ない。家に帰ったら休みなどない。