戦場の晩餐を、君と共に…其ノ肆 ページ11
翌朝は昨日のように、夢を見なかった。
しかし、そんなことがどうでもよくなる程の驚きが、中也の持ってきた朝刊に記載されていた。
『これは…』
その一面を飾っているのは、見間違えるはずもない国木田の姿。ガラスの向こう側を歯痒そうに見ている彼の写真と、新聞の内容を上条は冷静に吟味する。
(多分、これは罠だったんだな。彼奴の性格は分かりやすいから……なかなか相性が悪い事件だ)
探偵社に連絡でも入れようかと携帯を取り出すが、それは途中でやめた。
きっと、武装探偵社の皆ならば。彼らならば滞りなく解決してみせるだろう。集まった才能も異能力も、誰かに劣るなんてことはありえない。
(…絶対、大丈夫)
そうだ。仲間を信じずにいてどうするのだ。
『中也、作戦会議でもしよう』
だから、自分は目の前のことに集中しよう。
今は立場が違うが、元仲間を救えないなんてことはあってはならない。それこそ、“恩人”の一人である彼は特に。
「結局は前と変わんねェな」
『それが昔からの最適なポジションだった。太宰が考えたから当然だ』
「青鯖の名前を此処に出すな！ったく…一気に気分悪くなる」
『それは御免』
明らかに確信犯である言動に、中也は思わず此処にいない奴の顔面を殴りたい衝動に刈られる。上条でないのは癖みたいなものだ。いつも彼の傍にいた、八つ当たりできる野郎は今いないのが何故か腹立たしい。かなり矛盾しているが、それはそれで仕方がない。
閑話休題。
昼間の作戦会議は至って短時間で終わった。
中也が他の構成員と共に下っ端を襲撃し、その隙に上条が組織の頭を奇襲する。
相手はまだ停戦状態だと油断しているはず。それでも念のため、一部の構成員は別所で待機させている。これならもし向こうが同じ考えをしていても、ある程度対処できるだろう。
「…斎」
『……ん？』
ぼーっとスマホを見ていた上条。
名前を呼ばれてすぐに仕舞われたその画面は、ニュースサイトらしきものであったのを中也はちらりと見た。大方、今朝の事件についてだと察しがつく。
「いや、何でもねェ」
上条は親しい者が関係している場合を除いて、基本的に何事にも無関心だ。そんな彼にここまで心配させる探偵社は、やはりマフィアより合っているのだろうか。
可笑しな妄想であるはずなのに、何だか無性に虚しくなってしまう。
『よし、そろそろ行こう』
「嗚呼」
時刻は20時の5分少し前。――奇襲準備、開始。
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ロット - 更新楽しみにしています。また楽しい展開を待ってます！ (2018年3月21日 20時) (
レス) id: d561f39b52 (このIDを非表示/違反報告)
ファニー - 更新頑張って下さい！応援しています！ (2017年5月5日 23時) (レス) id: ccbe8ec79d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 匿名さん» このお話にBL表現は出さないつもりです。ただ、念のためということで最初に書いただけですし、前編でも対象にはならなかったのでこのままでいきます。…長々と失礼しました<(_ _)> (2017年3月21日 9時) (レス) id: 4c92540543 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - BL表現が少しでもあるのなら、フラグを立てましょう。違反の対象となります。 (2017年3月20日 22時) (レス) id: 53d4575912 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔夜 | 作成日時：2017年3月20日 20時
