あなたの声に溺れて 3

95話 ページ4

近くでしいちゃん先輩の声が聞こえる


この手を握ってくれているのは


きっとしいちゃん先輩だ










今回はやけにリアルな夢だなぁと思った


感触、匂い、声、はっきりとわかる








でも、体は言うことを聞いてくれなくて














椎「あてぃしも一緒に行こうかな」














いやだ


行かないで


ここにいて











そう思ってもなかなか声が出ない











どんどん握ってくれていた手の力が抜けていく














夢の中で私はあと何回


1人でいればいい？









1人は寂しい










お願い











置いていかないで














"『いかないで』"














椎「えっ」


赤「どうしたの？」


椎「手が…離れな…」














いかないで
















『………………ぅ、ん…………ぃかな、で』















……え？



















葛「おい！！！A！！！！！」


赤「せ、先生！先生呼んでくる！！」


笹「Aちゃ、」













夢じゃ……ない…………？















意識がゆっくりと浮上していく感覚


久しぶりすぎて


目を開けるのが怖くて


涙が出そうで

















だけど、私、生きてるんだって


嬉しかった













少しづつ目を開ける


懐かしい光が私に差し込む












ぼやけた視界はだんだんはっきりしてきて












ついに、この目に












しいちゃん先輩と






叶さんを捉えた














椎「Aちゃん、Aちゃん……！！」


叶「僕のこと、わかる…？」
















そんなの


わかるに決まってるじゃないですか











私の、大切で、大好きな先輩たち



















『し、いちゃ……かなえさ…………っ』
















やっと



会えましたね

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