あなたの声に溺れて 3

114話_side叶 ページ23

廊下の半分まで来たところで急に明かりが少なくなる







叶「ていうかなんで肝試し？」












いつも来ている会社なのに


ホラゲーをやる時とは違った怖さがある











あとで葛葉に文句を言っておこう















叶「ここ…だよね。他に部屋ないし」
















扉を開けると室内は暗闇だった













暗闇の部屋は、Aちゃんの荷物が散らばっていた


あの事件を彷彿とさせ


一瞬、僕の足を竦ませた















叶「ほんっと…あとで文句言ってやる」
















このまま思惑通りに怖がるのが面白くなくて


肝試しではご法度だけど、部屋の電気をつけた














広い部屋には大きな箱が一つ


それ以外は何も無かった












その大きな箱だけが室内で不自然に浮いていた


















叶「いやでかくない？？何入ってるの…」














少しづつ、近づいていく
















箱へ近づけば近づくほど

















僕は、箱の中身に確信を持っていく















叶「……かくれんぼは」
















僕は















叶「もう、終わりにしよう」



















Aちゃんの香水の匂いが好きだ



















ゆっくりと箱に手をかけ


蓋を開けた
















叶「……見つけた」















僕が欲しくてたまらないお姫様は















叶「なんで、寝てるのさ」


『んん……』
















気持ちよさそうに箱の中で眠っていた

















お化粧をしているのか


いつもよりとても綺麗に見えた















淡い水色を基調としたその服も


僕を喜ばせるには十分すぎた

















叶「…かわい」

















僕はそっと、彼女の頬に触れる


















叶「ねぇ、起きてよ」

















Aちゃん


















叶「僕は」









叶「君が欲しい」



















『ん…………うぇ…？かなえさん…？』


















ありがとう、葛葉















確かに





最高の宝物だ

115話→←113話_side叶

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す