彼女はもともとⅢ (ページ25)

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「何か他に質問はあるかしら？」

『あ…いえ…なにも…』

淡々と進んだ部屋の案内に、頭はキャパオーバーだった。

レオ・ベイカーに抱っこされながらエミリー先生は淡々と部屋の説明を終えた。

「カウンセリングはまた後日ね
A…いえ、テウさん」

頭の上に手が来たのできゅうと目を閉じると、寂しそうに笑ってから頬をなでた

「私の部屋はこっちよ。何かあったら来なさい」

『あ…えっと。ありが…』

寂しそうな先生はすぐさま室内に戻ってしまい、行き場のないお礼が木霊する。

パタン、と閉じられた扉からは埃が舞う。

「テウ」と彼は落ち込む私に微笑んだ

「ゲームのせいで、エミリー先生は疲れてるんだ。
何も悪くない。テウは何も。」

彼は乾いたビードロのような目で私を見上げた

「人生なんて、結局は自分が招いても全部自分のせいだってことはないのさ。
周りの環境と、他人の価値観と多少のすれ違いが、大抵の原因なのさ。」

悲しそうな目は、そこにいたエマを大きく写して揺れ動いていた。

(…はなし…かえなきゃ…)

『ゲーム…テウもやりたい！！』

おぉ…と驚いたように仰け反った私を支えるようにして、レオは私を見て微笑んだ

「ナイチンゲールに提案してみような。」

それまではみんなと一緒にいるんだぞ。

と、ちょうどその場にいた写真家に私を預けて去ってしまった。

「……はぁ。」

子供は嫌いなんだけど。と大きくため息をついた写真家に

『…私もおじいちゃん嫌いなんだけど。』

と小声で呟く。

ピキッと音がして

「子供は年上に対する言葉遣いがなってない。」

と私に手を伸ばす
フラッシュバックする記憶に蹲るように頭を抑えると

「ほら、無力なのに負け犬のように吠える。」

と私を蔑んだように笑う

嘲笑う口、蔑んだ目、伸ばされた手

『や、やめて！！！』

そう悲鳴を上げるとみんながかけよって、みんなが彼を冷たい視線で見つめるのだ。

睨みあげるような視線にポロポロと涙を流すと、サイテー。と誰かが非難する。
『えまぁ…こわいよぉ…』

「っ…こいつ。」

べぇ。と舌を出すと分が悪そうに去っていく。

「あとで覚えておくがいいよ。ねえ、テウ。」

と、私に笑ってその場を去った。
『可哀想な子供は最強なんだよ。』
と、私は笑う。

可愛げのない。

そうよ。私は可愛げのないもの。

ケラケラと笑うと、彼は何もわかってない。

と去っていった