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倉科ちゃんには何か事情があんのかもしんないな・・・
寂しそうだった、横顔が。
踏み込むほど仲良くなれてない自分が悔しい。
「あ」
sgi「ん?どうした?」
「あ、いえ、おもちがうんちするなと思って」
sgi「脈絡とかないの君は。」
ああ、ペースを乱されるな俺!
「おもち、うんち取るからちょっと待って。」
おもち、そしてちゃんと待つのかお前は。
賢いやつだな。
「おもち、ちゃんと待てたね、良くできました〜おりこう〜」
倉科ちゃんはおもちにご褒美のおやつをあげながら撫でる。
褒める時には1オクターブ高い声で話すんだな。
・・・!!
笑ってる。
笑ってる!!
っっっ。
倉科ちゃんの笑う顔を見て。
しばらく動くことのなかった心臓の一部が、急に動き出したような、そんな感覚が、した。
やられた。
俺、恋、しちゃった、か。
「・・・?どうかしましたか??」
sgi「いや・・・」
見られないよう慌てて手で顔を隠した。
「・・・須貝さんも撫でましょうか?」
sgi「いやしなくていいわ」
・・・してもらっとけば良かったか。
冗談でしてもらえば良かった!!
そっからよくおもちの散歩に出くわすようになった。
いや、違う。ベランダから倉科ちゃんのアパートをよく見るようになったし、散歩に出てきた瞬間俺も速攻マンションを出て会っている。
もちろんたまたま散歩に出てきたフリをして。
会いに行っている、という表記が最も適している。
距離の詰め方が分からん。
今まで、という程経験が豊富、というわけではないが、女子の機微には敏感な方で、だいたいこういう風に接すればいいとか感覚が掴めてたんだが・・・
倉科ちゃんは無理だ。
倉科ちゃんの好きなもの、おもち(犬)。これくらいしか情報がない・・・
おもち〜!好かれてて嫉妬しそうだわ、羨ましいぞ!
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作者名:たらこ | 作成日時:2021年4月15日 20時