笑った君と手を繋いで【sgi】 (ページ32)

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「・・・私って、」

sgi「うん？」

「愛想、悪いじゃないですか。」

sgi「んー、俺は昔から愛想が悪いとは思ったことねーけど。まあ淡白だから勘違いはされやすいわな。」

「今日、コンビニでレジしてた子、先月入ったんですけど、仕事出来てとても助かってて。」

sgi「おお、良かったじゃん。」

「似てると、言われます。」

あー。なるほどな。
たしかに、サバサバしてて淡々と仕事する感じは、そうだわ。

「仕事中に、笑うこと、ほとんど無いのはそうだし、誰かが辞めた、とかもそんなに反応はしません。」

まあ、笑顔で接客、ってタイプではないわなあ。

「でも、今日みたいなことが、よくあって。その・・・あまり、良く思われない行動だなと、思うんですが、自分も、そう見られているのかと思うと、その。」

sgi「複雑なわけだ？」

「・・・どう、改善したらいいのかと、考えていました。」

sgi「しなくていーだろ、改善なんて」

「でも、」

sgi「今日、Aは10円出しておじいちゃん助けてたじゃん。まずそこが違う。あの子爪見ていじってたけど、そもそもAはネイルとかせんからそんな動作もしないし、助けないにしてもじっと見るだけだろ。」

「でも、似てるって、」

sgi「まあ仕事出来るってとこは似てんじゃねえの？でも俺の予想だとあの子、動物とかあんま好きじゃないと思うぞ？」

「・・・よくお分かりで。」

sgi「お、当たり？さすが俺。Aとあの子の最大の違いはさ、誰かのために何かをしてあげられる人間かってとこ。おもちにご飯いっぱい食べさせてあげたい。とか、おじいちゃんが困ってんなら10円くらい出してあげたい、とか。Aにはそれがあんだから気にしないでいいんじゃねえの？」

表面に出ないだけで、Aにはそういう優しさが、しっかりあるよ。

「ちょっとくらい笑顔で愛想良く、した方が良いのではないかと、思ってたんですが。」

sgi「ま、止めはしねーねど、俺としては、そのなかなか出ない笑顔をたまに見られるってのが堪んなく好きだから、そのままの方が嬉しいけどな。さ、おもちも暑いだろ、帰んぞ。」

おもちのリードをAから取ってAの前に手を差し出すと、はにかんだように笑って手を重ねてくれた。

そう、これよこれ。

表面に出なくたっていいじゃねえか。
俺はちゃんと分かってるよ。
Aの優しさも、可愛さも。

「駿貴くん、ありがとうございます。・・・大好きです。」

無表情とか思ってるやつに、Aが、こんな可愛いなんて教えてやるもんか。