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sgi「今のじーちゃん、常連?」
「ああ、いつも和菓子買ってらっしゃいます。奥さんが好きなんだそうですよ。優しくて素敵な旦那さんですよね。憧れます。」
この発言は決して結婚の催促をしているわけではない。
純粋に人として尊敬する、という意味なんだろうけど、そんなこと言われたらなってやりたくなるよな。でももうちょっと我慢。博士課程卒業まで待ってやれるかは分かんねえけどな。
sgi「前並んでる兄ちゃんもイラついてるしレジの子も我関せずだったから俺も財布出したとこだったわ。優しくない世の中だよな。10円くらいで。せめて何も言わずに見てあげるとかできんもんかね?」
「・・・」
sgi「・・・A?」
「・・・私も、そう思われてるのでしょうか。」
sgi「ん?」
「あ、いえなんでもありません。今日はもう帰宅するんですか。」
sgi「あ、そう。もう後は帰るだけ。」
「そうですか。」
その後Aは一言も話すことなく家に着き、着いたと思えばすぐにリードとお散歩グッズをひっつかんでおもちと家を出て行った。
散歩から帰ってきたら話を聞こうと思ったんだが。
sgi「・・・もう2時間経ちましたが?電話してみるか。」
Prrrr
・・・Prrrr
玄関に置かれたAの鞄から着信音。
sgi「携帯は携帯せんかい・・・」
帰ったら電話しろと置手紙を残して家を出た。
駅までの散歩道なんてそんな数ねえし公園なんて1つ。
あ、いた。
丁寧におもちの水だけはしっかり置いてこのクッソ暑い中ベンチでぼーっとしとる。
sgi「A。」
「あ、駿貴くん。」
sgi「あ、じゃないのよ。あなた散歩行ってから何分経ってると思ってるの。」
「・・・ああ、2時間と20分ほどですね。」
sgi「そうじゃなくて」
「??あ、えーと、140分です。」
sgi「いや違うんだわ。2時間も何してんのってこと。」
「おもちの散歩です。」
sgi「うん、言うだろうなと思った。そういうことじゃなくて。こんなとこで座って、何考えてたのってことが聞きたいんだわ。さっきコンビニから帰る時もなんか考えてたろ。どした?」
Aにはストレートに言うしか方法はない。
何がそんな引っかかってんの?
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作者名:たらこ | 作成日時:2021年4月15日 20時