笑った君と手を繋いで【sgi】 (ページ24)

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家に帰ると玄関までおもちが迎えにきてくれた。
ドア、ちょっと空いてる。
閉めるのが甘かったんだろう。

「おもち、抜け出してきたの？」

おもちを抱き上げて部屋に入ると須貝さんが絨毯の上で寝てた。
・・・何もかけてない。
お借りしている毛布を持ってきて絨毯に膝をつき須貝さんにかける。

ふと須貝さんの顔が目に入った。
・・・こんな、端正な顔してるのになんで私なんだろう。
可愛げもない、家庭内暴力で両親は被害者でも加害者でもあって。欠点だらけなのに。

そう考えているうちに無意識に手は須貝さんの顔に伸びていて。

sgi「なに、Aちゃん」

「っっ！ちがっ！」

sgi「なにって聞いただけだろ(苦笑)そんな慌てなくても。」

今、私、須貝さんの頰に触れて、た。

"人間は好意を抱いている相手の肌に触れたい、鼓動を感じたいと思う習性があるのではないでしょうか。"

違う、そんなんじゃない。
好きなんて感情、持ってない。

「ちが・・・好きとかそんな不安定な感情、いらない・・・やだ・・・」

勢いよく立った反動で後ろのテーブルに躓いて尻もちをついた。
この場から、早く、立ち去らないと。

ﾌﾜｯ
sgi「ほんとにどうしたの。怖いことでもあったか？」

じりじり離れていたはずなのに目の前にはオレンジ一色のパーカーが見える。
・・・抱きしめられてる？

ﾄﾝﾄﾝ
テンポ良く背中に振動が来る。

「俺は裏切らんよ。Aちゃんが辛いこと、嫌なことしない。そばにいる。」

この腕の中に、ずっといたい。
そう思ってしまう。
・・・好きに、なってしまいそう。

！！
しっかりしろ私。

須貝さんの胸を両手で押した。

「そんな、優しさ、いらない！」

好きじゃない、好きなんて感情持ったら、私は・・・
どうなるの？

好きが故に相手に暴力をふるうの？
それとも好きという理由だけで何をされても許すの？
いやだ・・・好きという感情に縛られたくない。

無我夢中で須貝さんから離れようと立ち上がった。