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「あ、あの。」
sgi「ん？」
「先程の・・・」
sgi「いーよ。言わなくて。なんか思い出したんだろうし。いい思い出ではないだろ。聞いてもいいなら聞くけどさ。」
しばらく沈黙が続く。
途中で降ろされたおもちは走っては振り返り倉科ちゃんが追い付くのを待つ、というのを繰り返している。
倉科ちゃんが好きなんだろうな。
家までの道のりを半分くらい進んだところで倉科ちゃんが口を開いた。
「・・・私、家族は母だけで。」
sgi「うん。」
「だから、学費が奨学金でおりてる以外は全部自分で働いて賄ってるのでよくお会いするんですけど」
sgi「うん」
「父が・・・その・・・暴力を。」
うん、だろうなと思ってた。
だってさっきうわ言で叩かないでって言ってた。
sgi「今もなの？」
「いえ。修士の時に、現行犯逮捕されてそのおかげで離婚できたんです。だから博士課程にも進めたというか。修士の最後の方は中退も考えてたんですけど・・・結果的には進めたので今になります」
sgi「そか・・・頑張ったな」
頭を撫でようと思った手を止める。
怖がらせるか。
「？？どうかしましたか。」
sgi「いや・・・俺のこと、怖くない？」
「え？」
sgi「や、さっき怖がらせちゃったから」
「今は須貝さんて分かってるので。怖くないですよ。」
sgi「そか。・・・頭、撫でてもいい？」
「どうぞ？」
初めて許可取って頭撫でた。
髪サラサラでちっさくて、柄にもなく緊張した。
撫でた手から心臓の音バレんじゃねーかと思った。
「今日はすみませんでした。」
sgi「驚かせたの俺だから。気にすんな。あ、なんか困ったことがあれば連絡して。」
持ってたルーズリーフをちぎって、電話番号を書いて渡した。
「須貝さんはスマートな男性ですね。」
sgi「ナイスガイでしょ？」
「ああ、そうでした。」
そう言って携帯を目の前に出し、すぐに登録してくれた。
こういうのって地味に嬉しいよな。
ためらいなく登録してくれるんだって。
「じゃあ。」
sgi「おう。おもちもまたな〜」
部屋に帰るとＳＭＳが届いていた。
倉科A 先程連絡先を頂戴した倉科と申します。 連絡先を登録させていただきましたのでご連絡致しました。 どうぞよろしくお願い致します。
sgi「いや文章かった！(笑)」
倉科ちゃんは魅力だらけだな。
俺の負け。倉科ちゃんが好きだよ。
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作者名：たらこ
| 作成日時：2021年4月15日 20時
