帯に短し襷に長し

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「・・・え、なんで」


彼氏「俺との約束だったんだろ？休んだから。ほら、今日はわがまま言ってくれていいよ。好きなとこ連れてってあげる。」


なんで、上から目線なんだろうなあ。


「ごめん。もう気持ち変わらないから。」


彼氏「何が不満？家事しないこと？言われたらするって。ご飯だっていらなかったら連絡入れるようにするからさ。」


「そういうことじゃなくて。たぶんそれで今回仲直りしても同じようにまたいつかなるから。」


彼氏「俺のこと好きじゃないわけ？」


「嫌いでは、ないけど。もうあなたとの未来が想像できない。ごめんなさい。」


彼氏「・・・A、浮気してんでしょ。」


「はい？」


彼氏「誰、会社のやつ？あれか、仲良くしてる先輩か、」


「ちょっと、浮気なんてしてない、冷めただけ。もう行くから。」


彼氏「ちょ、A！」


そこから彼氏は毎日しつこく私の生活について聞いてくるようになった。
付き合ってる時に、ちゃんと私のこと、知って欲しかったのにな。

家も無事決まって次の土日で引っ越す手はずも整い、ようやく時間が取れたので航平に明日なら、と連絡した夜のことだった。


彼氏「・・・大学の同級生か」


「え？ちょ、勝手にスマホ見ないでよ、航平がどうかした？」


彼氏「浮気相手、こいつだろ」


「はあ？まだ言ってるの？航平はともだ、」


ともだち。
だと思ってたのは、私だけだったんだっけ。


彼氏「・・・ﾎﾟﾁｬ」


「？！？！なにすんの！！」


次の瞬間防水じゃない私のスマホはシンクで漂白していた食器の水の中に浸かっていた。


彼氏「いいよ、別れてやる。でも今すぐ出てけ。明日俺が仕事行ってる間に荷物も全部持ってって。」


「え、ちょ、」


彼氏は寝室に向かい、私は急いで荷物を詰めたわけで。


「とりあえず、いそいでウィークリーマンション借りて、今荷物全部移せたとこで、ほんとごめんね」


wtnb「・・・んで、」


「え？」


wtnb「なんですぐ頼ってくんないの？！」


「いやだからスマホ水没しちゃって、」


wtnb「俺が働いてるとこ知ってんじゃん、来てくれたらいくらでも手伝えたのに！」


「そう、だねえ。」


wtnb「俺じゃ、ダメだから頼ってくんないの？」


「え？あ、そうじゃなくて、」


wtnb「困った時に助け求める候補にもあがんない？友達にすらなれてないってこと？」


「え、ちが、」


wtnb「・・・俺じゃ、ダメなの。」


航平の頭が下がって、つむじが見えた

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