帯に短し襷に長し

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「お先です、」
「あ、もしもし・・・」
「---さんちょっといい？」
「はーい」

え、え、なんでそんな立て続けに、2人きりにならないようにわざわざお昼ご飯持って来ずにコンビニに買いに出かけたっていうのに。
朝弟のだけお弁当作ってることに自分でも意味分かんなかったくらいなのに。


fkrさん「Aちゃん」


「・・・はい。」


やっぱり。今日も来てしまった。


fkr「・・・Aちゃんのことが、好き、です。やっぱり諦められない。僕と付き合ってくれませんか。」


「・・・なんで。」


fkr「え？」


「なんで何回も、言ってくるんですか。」


fkr「だってAちゃんが必死な人がいいって、」


「そういうことじゃありません！」


違う、私が好きなのは、こんな毎回挨拶みたいに告白してくるような人じゃない、好きで堪らないんだって、何も言わなくたって伝わるみたいな、人で、


「福良さんみたいな人じゃない人が好きなんです！！」


fkr「・・・俺みたいじゃない、人かあ(苦笑)難しい、なあ。」


「っっ、」


今のは、ダメだ。言っちゃいけない言葉だった。
福良さんの方を見ることが出来ない。


「・・・ごめんなさい！」


書いている途中だった記事の保存もせずにパソコンを閉じると押し込むように荷物を鞄に詰めて、オフィスを飛び出した。


弟「そんなこと言ったのねーちゃん」


「・・・私が悪いのは分かってるよ。」


弟「じゃあ謝れよ」


「・・・いつ？オフィスでみんながいる時？」


弟「・・・あー。2人になったらまた告白されんのか。」


「分かんないよ？自惚れかもしれないし。でも経験上は、そう。」


弟「ほんとに、何されても好きになれない人か？一応言っといてあげるけどさ、俺よりよっぽど、必死だと思うけど、その人。」


「なんで。」


弟「俺はさ、誰がいたって構わずにとにかくあったら告白して食い下がったけどさ。その人はわざわざねーちゃんが1人になるタイミングを待ったり作ったりして、ねーちゃんが恥ずかしい思いしたり、周りの目気にして断れないなんてならないように気遣ってくれてんじゃん。洋子は誰がいたって無理、の一言で済ませるようなタイプだけど、ねーちゃんは恥ずかしい、断れない、どうしようってなるタイプだろ。それ分かってくれてるってことじゃん。」


「・・・たし、かに。」


弟「めちゃくちゃ、好かれてねえ？気遣うけど好きなのは諦められないから、何回も告白するって、俺よりよっぽど良い男に見えるけど。」


私、ちゃんと福良さんのこと、見てなかったかもしれない。

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