愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

44話 ページ46

「成程。随分と人間離れしているな」


『栄養補給の方法が変わっているだけで、怪我をすれば人間と同じで血も出るし、無理をすれば死ぬからね？』


「そうか」


宿儺が私の頭を撫でる。
嬉しいので、胸元に擦り寄る。
いつまでもこの時間が続けば良いのに。


「A。今日も高専を視るつもりか？」


『そうだな。暇だし視ようか』


何せ今日は動きたくない。


「俺にも視えるようにしろ」


『了解。でもどうするかな』


方法は幾つかあるが、折角ならこの体勢のままが良い。


「構築術式で擬似投影機を作れば良い。そこに視界を共有すれば俺も見えるだろう」


『天才だな。なら宿儺、作って』


宿儺はもう私の術式が使える筈だ。
閨事のあった朝、起きた時にいつも私の身体が清潔にしてあるのは、術式で湯やタオルを作り出しているのだろう。
教えていないのに出来るのだから、本当に敵わない。


「ああ。これで良いか」


前方にスクリーンを作り出す。
私がそこに視界を共有すれば、上手くいきそうだ。


『完璧。流石宿儺』


早速写す。
今日の場合は記憶では無く、リアルタイムの覗きだ。
訓練中の一年と二年が視える。




釘崎がパンダと口元を覆った男子に投げられている。


『パンダ？』


「呪骸だなあれは。形を与え、呪力を注ぐことで術者の意のままに操れる。何故か自我を持っているようだが」


何か何処かで聞いたことのある仕組みだな。


『あ』


「俺とは違うわ阿呆」


『痛い』


ポカっと殴られた。
手加減してくれたからそこまで痛くないが。


『ごめんごめん。今は体術の訓練中みたいだね』


伏黒は女子と戦っている。
長物を使っているが、動きが何処となくあの人に似ているな。


「あの女も天与呪縛か。恐らくあの男の血縁者だろう」


『ならあの人が真希さんって人か』


視た限り、周囲に敵視されている様子は無い。
先生が上手く言ってくれたようだな。


「できた！できましたよ先生！」


この頭が痛くなるような声は。


「うんうん！流石僕の教え子！優秀で嬉しいよ〜」


漸く戦闘で使えるようになったのか。
五条が見ていれば、正しい使い方に気付くのは時間の問題だと思っていたが。


「呪力に磁力を与えて、引き合わせたり、退けたりする…。先生が仰っていた意味が漸く分かりました！」


『その使い方なら体術が出来ないと意味無いけどな。出来て後方支援か』


思わず悪態を吐く。
予想通りの戦い方のため、警戒する必要は無さそうだ。

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