愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

18話 ページ20

刀を構える。
刀を貰ってから二週間程、伏黒先生に体術を見てもらってはいたが、所詮は付け焼き刃だ。
どこまで持つだろうか。


「ｹﾋｯ」


来る。


ｷﾝ！


速い！しかも一撃が重い！
受け止めるつもりが受け流すしか出来なかった。


『刀を折る気だったな』


流石にこれを折られる訳にはいかないので寮に返しておく。


「何だ。もう終いか？」


『いや？折られると代えが無いからな』


術式を使って呪力で刀を作り出す。
所謂構築術式というものだ。
これなら折られても問題無い。


次はこちらから仕掛ける。
左目に頼り過ぎると反応が遅れるな。
呪力の流れだけで視るな。
予備動作から動きを読め。
相手は呪力を持った伏黒先生だ。


不味い。
腕を掴まれた。
そのまま投げられる。


『クソ』


呪力を背中側に集めて緩衝材を作り出す。
体術だけだと全く歯が立たないな。
筋力も敏捷性も敵わない。


「俺に手を抜いて勝てると思うのか？もっと動きを良くできるのだろう？」


ニヤリと嗤いながらそう言う宿儺。
少ししか術式を見せていないのに私の奥の手に気付いたのか。
呪術に関する知識ですら、呪いの王たる風格があるな。


『そうだな。ならやってやるさ』


自分の体内に流れる呪力に意識を集中させる。
相手の呪力を操る時のように。
自分の身体を、傀儡にしろ。


「ｹﾋｯ。出来るではないか。先程とは大違いだな」


当たり前だ。
今の私の動きは伏黒先生並みだ。
これを実現させるためにあの人の動きを見続けたのだから。


『はぁっはぁっ』


息切れがする。
心音が嫌な程聞こえる。
動きは真似出来ても、身体が動きについていかない。


「限界か？つまらんな」


眼前に迫る拳。
ここが今の限界か。
十分だ。


「ん？」


『どうした？拳が届いていないぞ？』


術式を使い、宿儺の動きを止める。
さあ、私の番だな。


『体術なら惨敗だが、呪術なら大勝だな』


「チッつまらん。さっさと拘束を解け」


『私の話を聞くならな』


「良いだろう」


一歩下がり、術式を解く。


腕を下げたフリをして殴り掛かって来る。


『行動原理が5歳児だよ』


勿論読んでいるためすぐに動きを止める。


「あいつは良いのか」


そう言って宿儺が見遣ったのは特級君。
先程まで私達の戦いを見ていたせいか、萎縮しきっている。


『良いよ別に。動いたら止めるし。祓うと帳が上がってしまうからな』


目隠しのために生きていてもらう。


『さあ私と未来の話をしようか』

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