一話* ページ2
頭が痛い。
いや違う……？
苦しい、わけでもないな。
何だろうか、この感覚は。
目を閉じているのかは分からないが、視界がゆがんでいるような感覚に陥る。
私は今どんな格好をしている？寝転んでいるのか、誰かに抱えられているのか、記憶も、体中の感覚も一切無い。ただ、浮遊感のようなものが体中を支配している。
夢、なんだろうね。飲み過ぎたかな？こんなに変な夢を見るなんて。
あぁ、でも、案外……嫌じゃないかな。もしかしたら、さっきまでの世界が夢なのかもね。何だっけ、そう、確か……『胡蝶の夢』だったっけ？それみたいに。
あぁ、もうずっとこのままでもいいかもしれないね。
それはなんと、素晴らしいことなのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。
「んぅ…ふぁー、よく寝たぁ」
と、いつも通り欠伸をしながら寝ぼけまなこで愛用している電子たばこをくわえる。
結局はいつも通りに現実が訪れたわけだ。何だったんだあの夢。
「ん〜、起き抜けの一服はいいねぇ」と水蒸気を吐く。
何の変哲のない日常の一コマだ。
目の前に広がっている光景を除けば
「って、ここどこ…？」
あたり一面森！前言撤回！また夢かい！？
「…？」
頬をつねる。
「痛っ…ってことは夢じゃあないの？」
さっきの夢とは違い、えらく五感が冴えているように思える。目も起き抜けにしてはよく見えるし、触覚もはっきりと感じ取れる。
「ど…どうしよう？とりあえず周りを調べようかな」
心を落ち着かせ、状況を把握しようとする。
とりあえずは、一番最初に目に映った、森を少しばかり散策してみる。
・・・探索中・・・
「なにこの植物？こんなの日本にない種だよ？」
調べると、そこに生えていた奇妙きてれつな木の実が私の視界をジャックした。
不気味な渦の模様。恰も人工物のような色。そう、それはまるで、かの有名な『悪魔の実』を髣髴とさせる果物。
「ぷはーーやーっと森ぬけたー！」
「ｯ!」
果物にくぎ付けだった私の両目が、突然森から出てきた少年に奪われる。
「ぬおっ！さらに人発見！お〜い！そこのひとー！」
私を見つけた少年が叫ぶ。
「私？」
「そーそー！そこの人！此処がどこだが知ってるかー？」
この子、もしかしなくても。
「イヤ、実は私も迷ってて」
「そっか！じゃあ俺といっしょだな！」
名前なんか聞かなくてもわかる。ルフィ、海賊麦わら。
あぁ――――。
どうなってこうなった？？？
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
