▲ ページ45
『……まだかなー』
とある駅前で、ぼーっと道を歩く人を眺める。彼氏役のメンバーを待つこと１０分。なかなか来ない。
時刻は16時30分、時間まで残り30分なのになぁ。今日全員仕事詰まってるって言ってたもんなー。
…まぁそれはいいとしてさ。
私はゆっくり視線を下に落とした。
『スースーする…』
自分の履いてるスカートの裾を下へ引っ張る。
一応カップルのフリだからとはこたろーさんに渡された服を着て来たのはいいけど……やっぱりスカートは嫌だな。…お股が落ち着かない。
別にいつも通りの服装でもカップルに見えないことないでしょ、なんて今更ぐちぐち呟いてると「A？」と声をかけられスカートから視線を上げる。
『あ、しるこさん』
し「ごめーん、待ったよね」
暗めのデニムに白いニットを着たしるこさんが手を振って駆け寄ってくる。
今回の仕事のパートナーはしるこさんらしい。
し「前の仕事が結構押しちゃってさ」
『そんなに待ってないから大丈夫だよ』
し「ほんと？よかったー。ていうか今日、雰囲気違うね？」
めっちゃ可愛い服着てる！と笑うしるこさんに「はこたろーさんに渡された」と答えれば「さすがはこたろーチョイス！」とまじまじと見てくる。
そんなに見ないでくれ、恥ずかしいから。
し「髪の毛もいい感じだし！本当のデートっぽいね」
『まぁ一応デートって設定ですからね』
し「え、テンション低くない？」
顔を覗き込んでくるしるこさんの肩を叩いた。
『この格好恥ずかしいの！！いいから行こ！』
しるこさんを置いて目的のお店まで一人歩き出す。
パンプスも歩きづらいし、もう！！
「えー、かわいいのにー」って後ろから言いながら追いかけてくるしるこさんを無視してズカズカ歩いていると、暖かい何かが私の手に触れた。
し「一応デートだからね？」
しるこさんが私の手をギュッと握って笑った。
突然のことで顔が熱くなる。
しるこさんの手に触れることなんて珍しいことじゃない。一緒に暮らしてるわけだし……。
なのに、デートってなっただけでここまでドキドキしちゃうのは私の経験が少なすぎるからなんだろうな。
私より頭一つ分大きいしるこさんを見上げながら、少しの悔しさを感じていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おゆき(プロフ) - meさん» ただいまです！お待たせしてしまってすいませんでした。ありがとうございます！また少しずつ更新していくので、見ていただけると嬉しいです！ (2021年5月18日 18時) (
レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おかえりなさい。また公開してもらえて本当に嬉しいです。無理だけはしないでくださいね！ (2021年5月18日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おゆき | 作成日時：2020年11月13日 14時
