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あー泣いた…めっちゃ泣いてしまった。やばい……こっからどうしたらいい…?と、恥ずかしさが押し寄せてくる。
し「……へ?」
は「…ど、どうしたの、」
内心焦ってると、しるこさんとはこたろーさんがタイミング悪く現れた。
『いや、これは、あのぉ……』
私たちを見てポカーンと口を開いたまま止まった2人に何ていうか考えていると、じらいちゃんとかるてっとさんが私から離れて行った。
ーー少しだけ、寂しかった。
か「俺らはいちはちさん呼びに行くか」
じ「そうだね!さっき仕事から帰ってきてたし」
『えっ?!行っちゃうの!?!?』
今?!このタイミングで居なくなっちゃうの?!
焦る私の頭に手を置いたかるてっとさんは「また、あとでな」と笑った。
また、あとでーーー。
以前なら何も思わなかった。本当に何気ない一言。それでも今は、すごく心がぽかぽかした。
かるてっとさんとひらひらと手を振るじらいちゃんに笑ってから、私はしるこさんたちへ視線を移した。
2人は未だに状況を飲み込めずにいて、私は手招きしてみる。…2人にもちゃんとお礼を言わなきゃ。
私の元へそろそろと来た2人は、私をじっと見てからどこか安心したような表情を見せた。
そして私よりも先にしるこさんが口を開いた。
し「……今回ばかりは説教でもしてやろうかと思ってたけど、そんな顔見せられたらどうでもよくなっちゃった」
は「そうだね、」
『??』
首を傾げる私に、しるこさんは手に持っていたマグカップをベッドの横のテーブルにそっと置いた。甘い香りが広がる。
『ココア…?』
し「うん、好きでしょ。みんさんから目覚めたって聞いたから作ってきた」
『……ありがとう、』
は「体は?どう?」
『自分一人でトイレすら行けないって感じかな』
そっと手をあげるけど、痛みで顔を顰める。
数分間手を上げていることもできない。これは仕事に復帰出来るまでかなり時間がかかりそうだ。
し「……ごめんね、」
『…なんでしるこさんが謝るの』
し「もっと俺が早く駆けつけていけたら、」
は「…、」
…かるてっとさん達も同じこと言ってたな。
唇を噛むしるこさんと、その横で悔しそうな顔をするはこたろーさん。私は痛みで痺れる腕を上げて、2人のお腹に力一杯拳をぶつけた。
『馬鹿、』
ここに居る人たちはみんな、どうしてこうも優しいんだろう。
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おゆき(プロフ) - meさん» ただいまです!お待たせしてしまってすいませんでした。ありがとうございます!また少しずつ更新していくので、見ていただけると嬉しいです! (2021年5月18日 18時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おかえりなさい。また公開してもらえて本当に嬉しいです。無理だけはしないでくださいね! (2021年5月18日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月13日 14時