愛より恋よりお笑いで (ページ8)

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東京駅

「あ～相変わらず人が多いな」

山「せやな」

「なんでそんなに疲れてるん？」

山「リリーさんの絡みがクレイジーすぎてな」

「よかった盛山さんと話してて」

山「盛山さんと何話してたん？」

「色々な」

山「そっか」

「山本はこっからどうする？」

山「俺はとりあえず腹減ったから飯食いに行ってくる」

「じゃあまた明日やな」

山「せやな」

「じゃ、また明日」

山「しっかり休めよ」

「ありがと！」

「いただきます」

ポチ、ピ！

内『さぁ！今回もやってまいりました突破ファイル』

「ごちそうさまでした」

「おやすみなさい」

これが私の日常

自分の大好きなお笑いをやれて

ホンマに自分は幸せ者だと思うって常日頃思っている

周りの人を自分のお笑いで笑顔にすることが出来る、これが自分の昔からの夢だった

それをできたら死んでもいいとも幼いころから思っていた

芸人になった日から仕事がもらえるんが

嬉しくて嬉しくて......

相方の山本と沢山のお客さんを笑わせて

自分も笑って、みんなも笑ってこんなに楽しい仕事はほかにないと思う

もちろんこの世界に飛び込むまでがかなりしんどかった

覚悟も沢山抱いた

好きなことをしてそれでお金を稼いで生きていけている今が楽しくてたまらないんだ

でも昔はそんな風に思えなかった

自分は何のためにこの世界に入って仕事をしているのだろうと何度も思った

言っちゃ悪いがやりたくない仕事をやらされたこともあった

それで病んでしまったこともあった

さっきの盛山さんの言葉で少し昔の事を思い出してしまった

盛「好きな男とか気になる男とかいるん？」

あの時ほんの少し嘘をついてしまった

いないことはないけど盛山さんに言った言葉は嘘ではない

誰かに夢中になってお笑いの腕が落ちるなんて絶対に嫌やし

昔の出来事のせいで何度舐められてきたことか

だから負けたくない

どんなことをしてでも私はこの世界で生きていくことを決めたから

それでもたまに思ってまう事がある

もしあの時あのまま私が松竹芸能に所属し続けていたらなんて思ってしまう事がある

我慢していれば、私さえ我慢していたらって思うけど

今の方が幸せだからそれでいいと思う

仲間がいて優しい先輩がいて面白い後輩がいて良い同期がいて

その幸せを絶対に手放したくない

一度手放した人間だから

これが私の何にも変わらない幸せな日常だから