愛より恋よりお笑いで (ページ49)

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「てかなんでこんなに皆話しかけてくるんやろう？」

山「何でやろうなー」

そう言って山本が楽屋から出ようとしたのを見て

「待てや、山本」

山「なんや？」

「お前やろ」

山「せやから何が？」

「私の事でなんか言ったのお前やろ」

山「なんでそう思うん？」

「うちが一歩踏み出すって聞いてなんか周りに言ったん？別にうちは怒らへんから

素直に言って欲しい、なんて皆に言うたん？」

そう言うと山本が話し出した

山「Aが一歩踏み出すって新しい恋したいなって言うたやんか、せやから」

「せやから？なんやねん」

山「せやから俺の知りうる芸人仲間にラインや電話してAが新しい恋したいから

恋人募集中って言ったらあっという間に西や東に広まっていまやよしもとだけじゃなく芸人界隈に

広まってしもうてやから...その～てへっ」

「てへっ......じゃねーよ！！ゴルァ！！！」

山「お前！怒らへんて言ってたやんけ！！」

「それとこれとは話が違うやんけぇ！！おい！待てコラァ」

そっからというもの

〈あの！月城Aさんですよね？〉

「はい、そうですけど」

〈あの自分３３期の小宮山ていいます！あの無理を承知でお願いしますがどうか付き合って下さい〉

「あ～」

毎日のように後輩や自分の知らん先輩に告られるようになって今では大阪よしもとの劇場で活躍する

芸人たちにとっては当たり前の光景になってきたし私も

「その...私小宮山君やったっけ？君の事そない知らへんしお互いの事よう分かってへんからさ

ホンマにごめんね？」

〈いえ！自分のこの素直な気持ちをAさんに伝えることが出来ただけでも十分です！〉

「別にこれから一切話しかけるなとかじゃないから、もしまた会うたら話しかけてや」

〈ありがとうございます〉

これが毎回ある度に自分の中の良い心がいつも痛んでしょうがない

ホンマこれも全部山本のせいや

山「いいなぁ～モテて」

「なら交換してくれやぁ、うちの中の良心の呵責が痛むんよ」

山「これから一歩踏み出すからええやん」

「こういう意味での一歩をゆっくり踏み出すつもりやったから動揺しとるよ」

山「それで初恋を忘れればいいよ」

「せやな」

そして一歩を踏み出した月城A

昔を忘れることによって新たな自分になれる

そう思っているが本当は周りの芸人から思われていたことに正々堂々と勝負することが

出来ると息巻いている芸人が多くいる

誰に恋に落ちるのか月城Aはまだ知る由もない