愛より恋よりお笑いで (ページ34)

今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:40,032 hit

・　（過去編森田side）ページ34

俺は廊下をどたどた歩いて楽屋のドアを思いっきり開けて思いっきり閉めて

その部屋にあるソファにドカッと座って貧乏ゆすりをし始めた

東「も、森田さん？どないしたんですか」

森「あぁなんでもないわ」

東「ホンマに何でもないんですか？」

森「なんでもない、すまん今だけは、何も聞かんといてくれるか？頼む」

東「わかりました」

東口はそう言うと何も言わずに楽屋から出て行った

そんな後輩の姿を見て思わず頭を抱えて大きなため息を吐いた

森(最悪や、後輩の東口に気ぃ使わせてまうなんて)

でも東口がこれ以上聞いてきたらきっと俺はあいつにキレていたと思う何も関係あらへんのに

落ち着くために座ってたはずやのに自分の貧乏ゆすりで落ち着かなくてむやみやたらに

楽屋を歩き回った時に思い出した

養成所に入って数か月の土曜日、Aと一緒に吉野家に行って飯を待ってる時の話を

森『そう言えばAって携帯持ってんの？』

『あー養成所に入るにあたっていくら週２で土曜日はお昼なんですけど

火曜日は夜遅いじゃないですか危ないってことで買ってもらえたんですよ！ほらっ！！』

Aはそう言ってカバンの中からたこ焼きとお好み焼きのストラップをつけた赤いガラケーを

満面の笑みで俺に見せてきた

森『可愛いストラップつけてるやん！赤が好きなんか』

『そうなんです！昔から赤がめっちゃ好きでストラップはうちの好きな食べ物です』

森『ええやんけ、ならここにもう一つ追加せな牛丼を』

『探してるんですけどなかなか見つからんくて』

森『ホンマに探してるんか(笑)』

『はい！好きな食べ物なので』

森『本題やけど電話番号交換せえへん？』

『それすっごく思ってました！しましょ』

すぐにAは赤外線を出してメールと電話番号を交換することが出来た

森『よっし！できたな』

『フフッ嬉しいなぁ』

森『なんでそんなに嬉しそうなん？』

『だって親以外に電話番号交換したの森田さんが初めてでめっちゃうれしいです』

そう言って笑って俺も何か言おうとしたときにタイミング悪く牛丼が来て食べ始めた

この時ばかりは店員を恨んだことはなかったしA平気でこんな事言ってくれるんやと思った

思い出に浸ってたが俺の意識を戻して携帯で一番上に設定したA電話番号に電話をかけた

(頼む、出てくれ！)

そんな思いを無情にもかき消すかのように機械音しか聞こえなかった

おかけになった電話番号は現在使われておりません