愛より恋よりお笑いで (ページ20)

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我慢　（過去編）ページ20

ずっと耳を塞いでいた、何も聞きたくなかった

何か外で言い争いをしているのが聞こえたがずっと耳の中に指を入れて目を閉じてただ我慢した

外が少し静かになったのを感じて指を外した時

コンコンッ！

ドアをノックされた音を聞いたけど、立ち上がる気にならんくてどうせマネージャーさんやと思って

体育すわりをしてうずくまっていた

もうどうでもよかった、グラビアって聞いた時点で何でもよかった

「なんでうちがグラビアせなアカンねん......芸人やろ」

ノックを無視していたら声が聞こえた

森「A、俺や森田や開けてくれへんか？」

森田さんの声が聞こえた時立ち上がろうとしたけど体中の力が抜けて倒れてしまって四つん這いで

ドアまで向かって無理やり体を起こしてドアを引いたらドアが開いたほうに倒れそうになった

あ、死ぬかもって思って目を閉じたらいつまでたっても頭を打たなかったから目を開くと

森田さんの胸の中に収まっていた

「も、森田さん！すいませんすぐにどきますから」

私は森田さんの腕から出ようとしたけど出ようとすると腕の力は強くなっていった

少し半開きになっていたドアを足で閉じるとドアに寄りかかってバックハグの状態になった

「森田さん？」

森「ごめんな、こんなことになって」

「どうして森田さんが謝るんですか？私がいけないんです、私がダメやから」

森「Aは何も悪くない悪いのは会社やAの事を分かってくれない大人たちや」

「大丈夫です、大丈夫ですから重いですよね、どきますから」

森「重たない、むしろ軽すぎるちゃんと飯食うてんのか？」

「食べてますよ、ちゃんと」

森「ホンマか？」

「ホンマです」

森「俺な、ちゃんと覚悟決めたつもりやったんやけど足りんかった」

「覚悟？」

森「俺今から社長やAのマネージャーと話し合ってくるわ」

「えっ？どうして」

森「Aのネタおもろいのにテレビでやれへんのはおかしいし公演やライブにも出て欲しい

こんなグラビアなんかやりたないやろ」

その森田さんの言葉に静かにうなずいて

「やりたない......グラビアなんか」

私はうつむいていると森田さんは私を抱き上げて椅子に座らせて目を合わせながら

森「しっかり飯は食う事、しっかり寝る事！ええな」

森田さんは会議室から出ようとした時に

「森田さん！」

森「ん？」

「無理せんといてください、私......いつかのためなら我慢できるから」

森田さんはそれだけ聞いて出て行った