検索窓
今日:11 hit、昨日:62 hit、合計:445,175 hit

12▽ ページ12

.







下を向くのは、私の癖。

特にこれといったきっかけがあったわけじゃないけど。

みんなと同じ高さで世界を見るのが少し怖い、とは思う。


私の中学からこの高校に行く人は少なくて

最初の最初はみんなの輪の中に足を入れることだけで精一杯だった。

クラスみんなで自己紹介をした時、頑張って喋っていたら耳が真っ赤なことを指摘されて

重岡と結沙がかばってくれたけど、私は耳を手で隠して突っ立っていることしかできなくて

それ以来、耳がいつでも隠せられるような髪型しかしなくなった。



「帰ろ、A。」

「わー待って待って!」

「そんな焦んなくていいって、待ってるから、」



動きがのそのそしてる私と何でもテキパキ要領の良い結沙。

どうしてのろまな私と仲良くしてくれてるのか不思議に思うときがある。





初めて声をかけてくれた時のこと、今でもはっきり覚えてる。



『綾瀬さんの耳可愛いと思うよ。』



最初はよく意味がわからなかった。

それが結沙なりのフォローなんだって気付いた時

優しくて、でもちょっと不器用なんだなって気付いた時



『宮原さん、あの..今日、お弁当一緒に食べてくれませんか。』



仲良くなりたいって思った。

友達になりたいって、柄にもなく自分から仲良くなりたい意思を伝えた。



『結沙って言います。』

『..えっと、』

『宮原さんじゃ、寂しいじゃん?』

『あ、私は、』

『Aちゃんでしょ?知ってるよ。..仲良くなりたいなって、思ってたし。』



あの時の結沙のはにかんだ笑顔、きっとずっと忘れないと思う。








「終わったよ。」

「終わった?今日こそ絶対コンビニ寄ろうね。」

「あんまん食べたいな。」

「肉まん一択じゃない?」

「肉まんも好きだよ。」

「じゃあ一個ずつ買って半分こしよ。決定ね。」



単純に結沙の隣は居心地が良い。

だから私は結沙が好きだ。

結沙もそう思ってくれていたらいいな。



「結沙、」

「んー?」

「..なんでもない!」

「何それ、変なA。」



結沙が笑った。

私もなんだか嬉しくなって、

つられて笑った。









.

13▽→←11▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (551 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2080人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

プシュケ(プロフ) - しょあさん» ありがとうございます(;_;)大好きだと言ってもらえると私なんてまだまだちっぽけなのにとても誇らしい気持ちになれます。魔法のような言葉だなあと常々思います。更新頑張りますね! (2018年6月30日 21時) (レス) id: c500b02c4b (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - だいすきなお話です!更新楽しみにしてます(ノ_<) (2018年6月25日 1時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - れんれんLOVEさん» ありがとうございます(;_;)そう言って頂けて有り難いです。2人の恋がゆっくり動き出すところを見守っていただけたら幸いです、更新頑張ります! (2018年4月15日 23時) (レス) id: 0d3b4e228a (このIDを非表示/違反報告)
れんれんLOVE - お互いまだ好きなのにその恋を諦めようとしてる。そんな感じでとても切ない気持ちになりました。これからも頑張ってください! (2018年4月15日 16時) (レス) id: d3a8aaae25 (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - 永瀬のあ。さん» ありがとうございます(;_;)弟子ができましたも読んでいただけてるんですね、嬉しいです、ありがとうございます。さっさと言えよ!って感じですよね、私もそう思います。笑 少しずつ成長していく姿を見守っていただけたらと思います、更新頑張ります! (2018年4月8日 22時) (レス) id: 0d3b4e228a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:プシュケ | 作成日時:2018年4月7日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。