725.面倒な女 ページ5
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「濡れちゃったから、上着かけてもいい？」
「はい、」
私の返事に、ハンガーを取ってスカジャンみたいな上着をいつもの場所じゃなくて、窓の近くにかける彼。
そんな彼から少しも離れたくなくって、中華マンの入ったビニールを預かる序でに、真横にくっついて見守る。
「雨、酷かったですか･･･？」
「んー、まぁまぁかな。風がそんなにないから助かったけど」
「今日は、スタジオで撮影ですか･･･？」
「午前中はね(笑)午後は、外の予定だけど、これだと多分変更になるかなぁ、、」
目の前のカーテンを開けて、空を見上げる。
その時に見えた、生えたままの髭に、急いで出て来てくれたのかな、、ってまたキュンとする。
グゥううう、、
「っ、、！！」
「あははっ(笑)めっちゃはっきり聞こえた！」
近くにいた雅紀くんは、はっきり聞こえた私のお腹の音に大笑いしながら
食べよっか？って私の手をとってソファに促す。
私はそんな彼に、耳まで熱くなるのを感じながら頷いた。
「すぐ食べれるもん、って思ったら、こんなのしか買ってこれなくてごめんね？」
そう言いながら、雅紀くんは袋から中央がねじれた肉まんらしきものを私に渡して、自分も同じものを取る。
「冷えちゃったね(笑)」
「温めますか、？」
「あ、そうだね！そうしよっか！」
俺やるから、座ってて！って席を立った雅紀くん。
あ、って思った時には、もう彼のパーカーの裾を握ってて
当の本人は、ん？って顔してこっちを見た。
「･･･っ」
「ふふっ、一緒行く？」
まるで、私が何を言いたいかわかってるかのようにそういって
さっきみたいに腕をとって引っ張ってくれる。
「Aちゃん、肉まん温める時何使ってる〜？」
それから、何事もないかのようにそう言って。
そんな彼の優しさが嬉しいのと同時に、
私って面倒な彼女だろうな。ってちょっと鬱になる。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
