755.身構える彼女･･･A ページ35
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聞いていいことなのか、わからなかったけど、隠し事なんてして欲しくなくて
ミチルちゃんの言った、俺の知らない”お義姉さん”の存在がAちゃんの家族の仲を左右しているなら
知っておいたほうがいいのかもしれないと思って、正直に話した。
でも、彼女から帰って来た答えは、今は話せない。って一言で。
だけど、いない。って否定をしなかったってことは
お義姉さんがいる事は、事実なんだってわかった。
「雅紀くん、キッチンの電化製品もうおいていいですよね･･･？」
Aちゃんは、あの後からほんの少し元気がなさそうだけど
家族の話には触れてくれるな。と言わんばかりに必死にいつも通りを装ってる。
話せないって言われた以上、俺もしつこく聞いていい話でもないだろうし
何より作業が始まってるから、2人きりじゃないこの空間で聞けるわけもない。
「あ、、うん。」
ぎくしゃくした空気の中、Aちゃんは俺に声をかけられまいと、何処と無く近くに居ないようにしているようにも見えて
さっきから、あっちに言ったりこっちに言ったり。
「ね、Aちゃん」
俺が、そうやって名前を呼んだだけで動きが止まって、身構えてるのが伝わってくる。
「なんですか、、？」
なんて事ないように振り返ったけど、ほんの少し怯えたような表情は
何をいうの？って言ってるみたい。
「無理しないほうがいいよ」
「え、、？」
「午前中も作業してたんでしょ？少し座って休んだら？」
「･･･あ、あぁ」
あからさまにホッとしたような顔をして
「大丈夫です」って笑ってみせる。
「だぁめ。30分休憩。」
「えっ、」
また、キッチンの作業を始めようとした彼女の腕を捕まえて
「ちょっと外の空気吸いに行こっか」
「、、で、でもまだ業者さんが、、」
荷物の運び入れで、忙しなく動いてるお兄さん達を見てて
「バルコニー。今日天気もいいし、出てみようよ」
不安そうな顔をしながらも、俺の腕から逃げ出そうとする様子はなかった。
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作者名：にゃん | 作成日時：2020年3月21日 9時
