オワリノナイ恋 / A. Masaki【19】 (ページ24)

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744.思い出と足枷ページ24

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「こちら、テープがなかったんですが、運送のリストにもなくて･･･どうされますか｣

それは、保育士の夢を諦めてからは、気晴らしに引く程度だったもの。

捨てようと思えば捨てられるのに
昔、両親に買ってもらった、いわゆる思い出の品。のそれは
手放し難くって、結局今の今まで持っていた。

「トラックもスペースは十分にあるので、全然持っていけますよ」

「どうしよう、」

『どうしたの？』

「ピアノ、、どうしようかなって、、」

『ピアノ？持ってたっけ？』

雅紀くんの前では弾いた事はなかったし、
なんならほとんど彼が入らない、仕事部屋に埃が被るほどに置物と化してた物だから
気づいてなくても無理はない。

『いいよ？持って来て。安いものじゃないでしょ？』

「でも、、」

両親との確執の、足枷になるんじゃないかって思う癖に
すぐに大丈夫です。って言えないのは
結局、その思い出に縋ってるってことなのかもしれない。

「A？」

後ろから聞こえた声に振り返ると、電話を終えたミチルが立ってて

「どうしたの？」

「ピアノ、どうしようかなって思って、、」

「ピアノ？」

そう言って、ミチルは私と引越し屋のお兄さんの間にあるピアノを見つけた。