オワリノナイ恋 / A. Masaki【19】 (ページ15)

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735.一昨日の痛みページ15

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引っ越しを3日後に控えた、週末の金曜日。
お昼に仕事を上がって、いつも降りる駅の１つ前で改札を通る。

一度来た、ピンクの壁が印象的なお洒落な病院の扉を開く。

昼時だからか、お腹の大きい妊婦さんがこの間よりも多い気がして
受付をすませると端っこのソファに腰を下ろした。

何日か続く怠さで、少しだけ重い体を背もたれに預けて
雅紀くんに、今病院にきている事をラインで伝えた。

携帯から顔を上げて見つけた目の前に座っている女性のお腹は、もう臨月なのかなってぐらいの大きさ。
その人は、母子手帳を閉じたと思ったら、愛おしそうにお腹を優しく撫でていて
自分のまだ目立たないお腹にも、同じように赤ちゃんがいるんだって思ったら同じように自分のお腹をさすってた。

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「･･･っ、、」

待合室で順番を待って15分もしない頃、お腹にキリキリとした痛みを感じた。
つい一昨日も同じような痛みがあったけど、その時は暫くお腹をさすっていたら何事もなかったかのように痛みは引いていって
それからは、体の気怠さは出るものの、同じような痛みはなかった。

でも今日は、暫くお腹を摩っていても、痛みは引かなくて
逆に少しずつ痛みが強くなってる気がした。

痛みが増す度に、あの日のことが頭をよぎって
心臓がバクバクと鼓動を早める。

それでも、まだ我慢のできる痛みに「大丈夫、、大丈夫、、」って必死にお腹をさすって
痛みを逃しながら不安を落ち着ける。

ゆっくり深呼吸をしながらさすっていると、一昨日よりは時間はかかったものの痛みは引いた。

だけど、あの日を思い起こさせた違和感に心臓は暫く落ち着かなくて
痛みが引いても、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

そんなに混雑してない待合室では、私の状況に気づく人は居なくって
ようやく落ち着いた自分に、ふぅー。と大きくため息を吐くと、相葉さーんって名前を呼ばれた。

｢は、はいっ｣

立ち上がってまた痛みが出たらどうしよう、って思って
思わず勢いよく立ち上がろうとした体が強張った。

心で「大丈夫。」って呟いてゆっくりと腰をあげる。

何事もなく立ち上がれたことにホッとして、看護士さんが促してくれた診察室に向かって部屋に入ると
こないだと同じ優しそうなお婆ちゃん先生が、どうぞ？って丸イスに座るよう和かな表情で促した。