1話 ページ2
「……大阪から転校してきました。
4月の下旬。
まだ少し肌寒い季節に、その転校生はやって来た。
少し長めの黒髪、黒い猫目。
スッと通った鼻筋に小さい唇。
スラッ,とした手足は病的なほど白い。
顔だけで言えば、このクラスの誰より可愛いだろう。
「……じゃあ……無月はアイツの隣な。」
そう言って先生が指差すのは、俺。
無月は「はい。」と頷いて此方に来る。
「……俺、柊優也。よろしく。」
カタン,と席に座った無月にそう言って手を差し出す。
「……よろしゅう。」
そうとだけ呟いて、無月はフイと前を向いてしまった。
そのまま1時間目が始まる。
「……だぁ、何なのアイツ!? 」
「アイツって、無月君? 可愛いじゃん。」
「そーそー。羨ましいぞこのやろー。」
「嫌、話してみろって。俺よろしくって手ぇだしたら無視されたんだぜ!? 」
お昼休み。
俺は3人と一緒に屋上に来た。
話すのは無月のこと。
「あーもー、頭来た。絶対オトす、んで付き合ってって言わせて盛大にフる! 」
「おーおー。何か燃えてんねぇ。」
俺は、グラウンドに向かって吠えた。
「……成る程なぁ。」
この学校には屋上、と言うものがあるらしい。
その話を、前の席の奴から聞いた俺は屋上にやって来てみた……のだが。
『絶対オトす、んで付き合ってって言わせて盛大にフる! 』
聞こえてきたのはそんな宣言。
ドアの隙間からチラ,と覗くと先程の柊とか言う奴。
会話的に、転校生をオトしてフるらしい。
可哀想やな、その転校生も。
……俺やん。
通りで胡散臭い笑みしてると思ったわ。
「……どうしよか。」
ボソ,と声が漏れる。
別に、あんな奴に惹かれないしフられたってどうって事はない。
……けど、何か……。
そんな軽いと思われてんのか?
「……えぇわ、絶対オチひんし。……逆にオトしてやろ。」
俺も密かに、そんな宣言をした。
「……絶対オトす。」
「……絶対オチひん。」
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ののいろ系女子 - 凄く面白いです!何かね、無月君がブラックのコーヒー飲めないの何かぐっときました。最高です! (2019年2月27日 16時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜鸞 | 作成日時:2019年2月25日 16時