問いの少女 (ページ6)

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精神異常ページ6

突然の変化以来、こんな夢を交互に見るようになってしまった。

衝動に従い自ら破滅するか、
規範に従い何も感じずに死ぬか。

どちらも両極端で、望むような幸せではないように思う。

どちらかでは無いとダメなのだろうか？
なら、私はありもしない幸せを求めて死に向かっているの？

…だとしたら、私は…

……私って、なんだろう。

ふと、その問いが頭に現れた。
衝動の夢では、私こそが世界という答えが出ていた。
規範の夢では、私は世界に翻弄されるただのロボットのようだった。

私が望むなら、こうして私という人間は変わるのだろうか？
分からない、私ってなんなんだろう？

次々に問いが溢れる。

私ってなに？
私の存在理由はなに？
私の生きる意味ってなに？

すべて、分からなかった。
幼い頃は、何かしら意味があるから生きているって答えで済んでたのに。
なんか、知識に対して欲張りになってしまった気がする。

…あれ。そう言えば、ここはどこ？

意識が頭の中にしか無かったから、
もう全く、周りを見ていなかった。

「…目が覚めた？」

私はどうやら、ずっと目をつぶっていたらしい。
目を開けると、人の顔と光が見えた。
その顔は無感情で、ただただ冷静を写している。

これも夢だったりするのかな？

「…ここはどこ、ですか？」

「ここは病院だよ。君は誰か、覚えている？」

カルテを取り出しペンを取り出したその人。
私は、なんで病院にいるんだろう。

…もしかして、ずっと眠ってたの？
だとしたらいつから…

「…自分の名前、覚えてる？」

「あ…覚えてないです。私は誰ですか？」

その人…お医者さんがカルテにチェックを入れている。きっと、記憶障害アリってところにチェックを入れてるのだろう。

「君は、＿＿＿だよ。分かる？」

「…え？なんて言いましたか…？」

きっと、私の名前を言ったはず。
けれど、それは聞こえなかった。
ノイズのように、私の耳を引っ掻いただけ。

お医者さんは顔をしかめた。

「君の名前を言ったんだけど、聞こえなかったの？」

「聞こえませんでした。」

今度はカルテに文字を書いている。
ここでやっと、ここが精神病院だということを理解する。

お医者さんは文字を書き終わると、
じっとこっちを見つめた。
何を見ているのだろうか。

「…君は、自分でも気付いているかもしれないけど、精神異常者としてここに連れてこられたんだよ。」

そんなこと、知っていた。