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あれから数回お店に飲みに来てくれた伊黒さんは、
かなり飲む量を調整しているようで、あの日のように酔い潰れることはなかった。
何度か会話は試みたものの、そういう時に限って忙しいことが多く、連絡先を聞くこともできないまま、
8月も終わりを告げ、夏休み限定のバイトもまた終わりを迎えた。
“店員と客”の関係ですら無くなった今、私と伊黒さんを繋ぐものは何もなく、本当に彼のことを何も知らないんだと思うと、胸が痛んだ。
約1ヶ月ぶりに袖を通した白いセーラー服も、来月にはお役御免だ。
高校最後の夏が、終わりに向かってまた動き出す。
「Aさん、良かったら来週鬼滅学園の学園祭へ
行きませんか？」
夏休み明けの休み時間、親友のしのぶが急に他校の
学園祭へ行こうと持ちかけてきた。
鬼滅学園…そう聞いて浮かんだのは伊黒さんだった。
定時制も学園祭に参加するのだろうか？
もし会えるなら、次こそ必ず連絡先を聞かなきゃ。
これがラストチャンスだと自分に言い聞かせて、私はしのぶの誘いに二つ返事でOKをした。
待ちに待った当日、久々に伊黒さんに会えるかもしれない期待に胸を膨らませて、気合を入れて髪の毛を巻いて、ナチュラルメイクを施した。
最後だから、と制服で行くことにした私たちは、
出し物をしている教室を回ることにした。
もはや学園祭の定番とも言えるメイドカフェ、お化け屋敷、射的…どれもうちの高校よりもレベルが高い。
一通り回りきったところで、しのぶがお手洗いに行っている間、壁に貼られた掲示物を眺めていると、背後を通り抜けた懐かしい香りが鼻を掠めて、私は思わず振り返った。
「あ！伊黒先生ー！！久しぶりじゃん！！」
OGと思われる茶髪の女子大生たちが振り返った先へ
群がる。
『先生…？』
女子大生たちの間から見えた伊黒さんは、白衣姿の
如何にも教員の出立ちだった。
掲示物が貼られている壁の方へ急いで向き直り、聞き耳を立てる。
「なんだ、お前たち来ていたのか。」
「ねー、伊黒先生相変わらず冷たいよー。
そんなんじゃカノジョできないよー？」
あはは、と笑うOGたち。
やっぱり聞き間違いではない。
伊黒さんはここの先生だ。
「うるさい。余計なお世話だ。
大体、再会して早々そんな下世話な話をするんじゃ
ない。」
「えー、いいじゃん。
じゃあ私、カノジョになってあげてもいーよ？」
ドクリ、と心臓が跳ねた。
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
