∬∬ ページ21
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『似合いすぎてビックリした。』
不意打ちじゃん、と腕を小突くと、たちまち照れた実弥くんが頭を掻きむしった。
「…っとに敵わねェっすわ…」
悔しそうに言う実弥くんに、本当は凄くドキドキしたなんて、言えるわけがない。
『ま、伊達に先輩やってないんで！』
誤魔化すように笑えば、「先輩面かよォ…」と呆れるように笑った実弥くんと、屋台が並ぶ通りに足を踏み入れた。
とにかく新鮮だった。
自然と人混みから私を庇うように歩く実弥くんの姿も
得意だと言う射的で狙いを定める真剣な眼差しも。
側から見れば恋人同士のように見えるのかもしれないが、時折見せる少年のような顔が、彼が幾分も年下だということを物語っていて、その現実に私は悲観した。
「ビール買って、向こうで少し休みません？」
ちょうど歩き疲れたと思い始めた時に、見計らったかのように言われた言葉をありがたく受け取って、私達はビールを片手に屋台の通りを逸れて、静かな公園の方へと向かった。
「Aさんの帯、ここ引っ張りたくなるわァ…」
プライベートな空気に飲まれて敬語もまだらになってきた実弥くんが、斜め前を歩いていた私の帯を軽く引いた。
片蝶結びの帯が、私の腰を軽く刺激する。
彼が引っ張ったのは結び目とは逆の、垂れた帯の端だ。
『何、誘ってるつもり？』
「バレました？」
『年上を揶揄わないの。』
押し黙った実弥くんが、ビールをひと口呷って、ベンチを指差す。
促されるままベンチに腰掛けると、どっと慣れない疲労が全身を巡った。
「本気だって言ったら？」
『え、それまだ続いてたの？』
「ひでーなァ…」
実弥くんは軽くため息を吐いた。
『酷くないでしょ。
もう、生意気な後輩だなぁ。』
すると、実弥くんの腕が私の肩にまわり、不意に私は実弥くんに抱き寄せられるような体勢になった。
まずい。
そう思った時には、既に私の唇は実弥くんによって塞がれていた。
啄むように私の唇に吸い付いた彼のソレが、緩急をつけて私の唇の輪郭に沿えば、生暖かい舌の侵入を容易に許して、私の口内を弄んだ。
息をするのも忘れて、その感覚に酔いしれた私は、
今にも手放してしまいそうな理性に必死に爪を立てた。
酸素を求めて脳が震えて、余計に判断が鈍る。
「あんまりガキ扱いすんなよ。」
余裕無く言った彼の一言が頭の中で何度も響いた。
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
