98.太宰治の憂鬱 ページ15
社長室から出て、大きく溜め息をつく。
大体子供になったのも安吾の自業自得じゃないか。それなのにあんなAちゃんとベタベタして………
それだったら私だって子供になってAちゃんに抱っこされたい!!
「随分憂鬱そうじゃないか太宰。え?」
空色に透き通るラムネ瓶をカランと鳴らし、廊下に現れたのは我が社が誇る稀代の名探偵。
「あぁ乱歩さん………
安吾を元に戻すよう社長に頼まれて……」
「やらないの?方法は解ってるんだろ?」
そうは言ってもねぇ………
「はっはーんわかったAだな!」
「…………乱歩さんには敵いませんね。」
そう言うと、開いていたエメラルドグリーンの瞳があっという間に線に戻る。
「まあ、太宰次第じゃないの?
このままが良いならこのままでいいし、はっきり言って僕は興味ない。
Aは結構子どもの眼鏡を気に入ってるみたいだけど。
………あえて戻さなかったとしても、皆には黙っといてあげるから好きにしなよ。」
うーんその答えが一番困るんだよな………
「乱歩さんは元に戻す方法をご存知ですか?」
「素直になるとかでしょ?どうせ。
よくあるやつ。
気付いてないのは本人だけとかもどかしすぎるんだよ!太宰が一番ツラい立場だねぇ!!阿ッ破ッ破!!」
「笑わないで下さいよ乱歩さん。
まあ、何とか元に戻そうと思います。」
私がそう言うと、飲み終わったラムネ瓶を口の上で垂直に向け降っていた名探偵は、細い目をちょっとだけ開いた。
「異能を解くには、安吾が
“自発的に素直になり、それを相手に伝える”
必要があります。
なので、他の調査員にも協力して貰おうと思います。勿論、Aちゃんには知られずに。」
「………ふーん。
太宰がそれで良いなら別に良いけど。」
そのまま、フラフラと社長室に入っていく乱歩さんを見送る。
はっきり言って良くない。全く良くない。
でも、どれだけ足掻き、苦しんでも、私にはこの選択しか有り得ない。
だって………………
好きな
もしいつか…………
彼女が涙を流す時があるとしたら、私が一番近くで手をさし出せるように。
今は、彼女の笑顔のためにかつての友人を元に戻すとしましょうか。
あどけない丸顔と垂れ目を思い出す。
もし君がAちゃんを悲しませるような事をすれば……………
私がこの手で裁きを与えよう。
此は、その時までの貸しだ。
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あねもね(プロフ) - 莉玖梠さん» 今年の四月馬鹿はがっつり被ってましたね〜(笑)私も文マヨ開いて驚きました!!ちょっと書いては保存して……のスーパー亀更新なんですが、いつも見てくださってありがとうございます!! (2018年4月22日 15時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
莉玖梠(プロフ) - ヤバいです!!更新するたびちび安吾可愛すぎます!!公式のが出てるのでなお想像がしやすくなりましたね!! (2018年4月22日 0時) (レス) id: a35683e8e9 (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 莉玖梠さん» わ〜!!ありがとうございます!!頑張ります!!いつも応援コメントありがとうございます!!これからもどうぞよろしくお願いいたします!! (2018年4月8日 19時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
莉玖梠(プロフ) - 受験生なんですか!!勉強が大変ですね。更新はゆっくり待ってますので無理をしないで頑張って下さい!! (2018年4月8日 18時) (レス) id: a35683e8e9 (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 結城憂樹さん» ありがとうございます!!ほんっとに、こういうコメント凄い嬉しいです!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2018年4月8日 18時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あねもね | 作成日時:2018年3月8日 18時