おとなりさんのそらるさん。【歌 い 手】

おとなりさんその3 ページ5

＊そらるSide＊


「あれ…いないのかな？」

　
インターホンを鳴らして、少し待ってみても応答する気配がない
…もしかして、俺不審者って思われてないよね？大丈夫だよね？


「もう1回鳴らしてみようかな…」

　
これで出なかったら大人しく帰ろう……
そう思って、もう1回インターホンを鳴らして待っていると少し時間がたってぷつっと音がした。


「は、はーい」

「あ、えっと…突然すみません。隣に引っ越してきた一ノ瀬といいます。挨拶に来ました。」

「ご、ご丁寧にありがとうございます。今開けますね、ちょっと待ってください―」


そう言ってまた切れるインターホン。
聞こえてきたのはのんびりとした女性の声だった…誰かと一緒に住んでるのかな？
隣の部屋でも俺のとほとんど間取り変わらないなら2人でも全然住めるし……
なんて考えていたら、カチャリとかぎが開く音がしてドアが開いた。

　
「はーい…どーも、彼方さん。」

「…は？う…渉君？」

「はは、めちゃくちゃ驚いてるじゃないですか。」

「え、いや、だってさっき出たの女性で…え？」


　
うらたくんの登場で俺の頭の中が一瞬で？で埋め尽くされていく。
さっき俺のインターホン対応をしてくれたのは女性の声だった。
いくらうらたくんが声優でも、あんな女性の声は出せないはず……
目の前にいるうらたくんは今にも爆笑しそうなくらいにいい笑顔をしているが。


　
「とりあえず、ココだと色々あれ何で。中どうぞ？」

「え、いやここ…」

「大丈夫ですよ、家主の許可はとってます。」


　
そう言ううらたくんにつられて中に入っていく。
玄関にはうらたくんのモノであろう靴と、これまた見たことのある靴が1足。

　
「……あれ、これ坂田の。」

「そらるさん呼んだ！？」

「うわ。いやお前ここでそらるさんって…」

　
犬か！とツッコミたいくらいに名前を呼ばれた途端に現れた坂田に軽く冷や汗をかく。
いや、うらたくんたちの知り合いの家だってことは分かった。
坂田もいるってことはこっちの界隈の関係者だろうとも薄ら気づいているけども……

　
「大丈夫ですよ、そらるさん。…なぁ、水藻。」

「へ、水藻さん？」

「初めまして…でいいんですかね、水藻です。そらるさん。」

「あ、そらるですよろしく…」


　
そう言ってにこりと微笑む俺くらいに色が白い女性。
水藻さん…まさか、お隣さんがうらさかの知り合いの絵師さんって……世界は狭いなぁ。

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