おとなりさんのそらるさん。【歌 い 手】

おとなりさんその1 ページ3

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「おっじゃましまーす！」
　
「悠あんまり大きな音立てちゃダメー！」

「ふぇ？」

「確か今日からお隣に人が入ったんだよー」

「いや、人はいってなくてもドアを勢いよく閉めちゃダメだろうが。」

「え？ごめん！！」


　
いつものように、大きな音を立ててしまったドア。
今日からは少し音を静かにしなくてはお隣さんに迷惑がかかってしまう。
…にしても、あの全面防音の部屋に今度は誰が入ったんだろう？

　
「隣って…角部屋？」

「そうそう。」

「前の前に住んでいた音楽家が自腹切って全面防音にしたあの部屋？」

「そうそう。」

「へぇ…今度は誰が入ったんだろうな。」


　
隣の部屋に視線を向けながら、渉が興味津々に呟いていた。
今日は、今度あげるオリジナル曲につけるイラストの打ち合わせ……と銘打って
ゲームをしに来た2人、渉と悠…うらたぬきととなりの坂田。と言った方が有名だと思う。
その証拠に、悠はさっきから打ち合わせなんてする気がないと言わんばかりに
リビングでゲーム機をセッティングしているんだから。


「おいコラ坂田、そうじゃないだろ。」

「え？」

「おぉ…流石わたる。」

「最初はマリオカートだろうが！！」

「えー、えぇやんうらさん！！」

「ダーメ！！」

「え、いやそこ打ちあわせ…あれ…？」

　

何のゲームをするかで言い合っている2人を見て、この2人は何歳だ…？なんて思う
そんないつものやり取りは、いつも通りわたるが勝っていた。
しぶしぶソフトを変えている悠を横目で見ながら、飲み物を取りに冷蔵庫に向かう。
どうせいつも通り、オレンジジュースとコーラだろう。うちにはそれ以外お茶とお酒しかないし。


「よっしゃ、セットできたで！」

「Aーあとお菓子もー」

「いや、ホント自由ねあんたら！」


　
そう言いながらも、チョコレートにポテトチップスを渡していく私も
彼らに相当毒されていると思う。打ち合わせ？そんなのどうにかなる！とか
思っちゃってるから、こうなっていくんだろうなぁ…。


　
ピーンポーン


　
「へ？誰か来た…」

「え？引きこもりのAに俺ら以外で遊びに来る友達いるの？」

「それはちょっとひどくなーい？」

「…あれ？俺なんかあの人見たことあるような…」

「え？？」

　
そう言って、悠がインターホンに向かっていく、
それに着いて行った渉と2人、画面を見て驚いたように声をあげていた。

　

「「そらるさん！？」」


　
…え？そらるさん！？

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